便秘・下痢

あなたの便秘の原因は何?全部チェックしてみよう

あなたの便秘の原因は何?全部チェックしてみよう

こんにちは。べんぴ先生です。

今日は便秘の分類や原因について一緒に勉強していきましょう。

 

便秘を引き起こす病気は正直たくさんあります。

でも一つ一つ順番に考えていけばしっかり理解できるはずです。

ゆっくり一つずつ確認していきましょうね。

ガンコちゃん

大丈夫かなあ。どうせ小難しい内容なんでしょ。

べんぴ先生

確かに小難しい内容のとこもあるけど、ゆっくりゆっくり勉強していこう。わからないところがあったらyoutubeのコメント欄に書いてもらったら答えさせて頂くで。

 

慢性便秘診療ガイドラインとは

 

まず、便秘の原因・病気について説明する前に知っておかないといけないことがあります。

実は2017年に慢性便秘診療ガイドラインという本が発売されたのです。

 

ガイドラインっていうのは、医者向けの教科書みたいなものです。

 

 

ガイドラインはいろんな病気に対して出版されていて、

 

例えば大腸ガンに関するガイドライン

 

慢性膵炎に関するガイドライン

 

リウマチに関するガイドライン

 

みたいな感じです。

 

それこそたくさんたーくさんあります。

 

しかも定期的に改訂されていきます。

 

ガイドラインは医者のための教科書みたいなもんやで。

 

今まで日本の便秘診療はガラパゴスみたいになっていましたが、これでだいぶすっきりしました。

 

とは言ってもすべての医者が便秘診療ガイドラインを読んでいるわけではなく、あくまでも興味のある人しか読んでいないとは思いますが。

 

べんぴ先生

便秘診療ガイドラインは普通の本ではないから、一般の方がそのまま読んでるだけではわかりづらい感じがあるんや。ここから僕なりに解釈してわかりやすく説明していくで!

 

ガンコちゃん

お願いします!!なんかやる気出てきました!!

便秘で困ったら何科にかかればいい?

 

べんぴ先生

ガンコちゃん、便秘で困ったらどこにかかればいいかわかるか?

 

ガンコちゃん

うーん・・・近くのお医者さんですかね?

 

べんぴ先生

まあ、そうなるわな。そやけどな、開業医の先生はまずお腹の専門医じゃないことが多い。つまるところ、便秘のことをあんまりようわかってない人が多いんや。便秘の薬出しときますわ〜くらいで終わることが多い。

 

べんぴ先生

しかもよくあるのが、刺激性下剤のセンナなどをたくさん処方するんや。これはいただけない。

センナの危険性については以下の記事にまとめていますので、参考にしてくださいね。

刺激性下剤を処方しまくる先生は基本的には信頼したらあかんよ。

 

ガンコちゃん

なるほど。じゃあ、どこにかかれば良いですか?

 

べんぴ先生

総合病院やと消化器内科という科になることが多いやろな。ようはお腹の先生や。あとは排便機能外来っていうのもある。便秘や便失禁に特化してる外来や。こっちは消化器外科の先生がやってることが多いんや。

 

ただ、この排便機能外来をやってる病院は正直なところかなり少ないです。

 

しかも始めから排便機能外来にかかるのは、少しハードルが高いでしょう。

 

なので、まずは消化器内科にかかるのが良いと思います。

 

ガンコちゃん

ふむふむ。とりあえずは消化器内科にかかればええんですね。

 

べんぴ先生

そうや。まずは消化器内科にかかって診察を受けるのがいいやろな。

 

便秘で困ったら何科にかかればいいのか?

悩まれたことのある方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?

以下の記事でより詳しくまとめていますので、参考にしてみてくださいね。

どこに相談したらいいか迷ったら、とりあえず消化器内科へかかったらええで。

便秘の原因を調べる

ガンコちゃん

具体的にはどんな検査を受けるんですか?

べんぴ先生

本来なら後に話すような、便秘に関する症状を詳しく伝えてそこからどんな検査を受けるか医者と一緒に考えるのがええんやけど、正直な所、消化器内科医がみんな便秘診療に興味を持って診療しているとは言えないとこが辛い所や。おそらくは大腸カメラお腹のCTレントゲンを勧められるやろな。

 

ガンコちゃん

それを受けて異常がなかったらどうなるんですか?

 

べんぴ先生

まあ大体の場合は酸化マグネシウム(便を柔らかくする薬)でも出されて、「これで様子でも見てください」って言われるやろな。

 

ガンコちゃん

それで全然治らなかったらどうするんですか?

 

べんぴ先生

まあそのあとはその先生次第ということになる。ほとんどは適当に薬出されて終わりや。今のところ便秘診療において患者さんが満足しているとは言えへん状況や。そんな患者さんたちのためにこれからどうすればいいか説明していくわ。

ガンコちゃん

確かにこれじゃあ満足できない気がしますね。じゃあ、具体的に便秘診療はどんな感じなんですか?

 

ここから先は便秘診療ガイドラインを踏まえてわかりやすく説明していきますね。

 

べんぴ先生

まずはさっき言ったような検査を受けてもらうことが多いやろな。そして便秘診療においておそらく一番怖い病気は大腸ガンや。それをまず除外せなあかん。

 

始めに受ける検査

・お腹のレントゲン

・CT

・内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)

・注腸検査(バリウムの検査)

 

大腸ガンだけは見逃したらまずいで

 

もちろん一方的に検査を進めていくことはなく、患者さんと医者が相談して必要な検査を選んでいくことになります。

 

妊娠の可能性があればレントゲンやCT検査は行わないです。

 

今挙げたような基本となる検査でわかる病気をご紹介します。

 

・虚血性腸炎

・お腹の手術の後の狭窄

・壁外圧迫

・肛門狭窄

・大腸癌

ガンコちゃん

出た出た。やっぱり小難しい単語ばっかり羅列してきましたね。

べんぴ先生

落ち着け、ガンコちゃん!ゆっくり解説していくで。

 

虚血性腸炎というのはどんな病気かというと

急にお腹がものすごく痛くなって、そのあと何度も水みたいな下痢が出ます。そのうちに下痢に血が混じってくるのです。

 

ほとんどがこのパターンで発症します。

 

腸を栄養している血管が一過性に詰まってしまうことで起きると言われています。

良性の病気で、放っておけばほとんど治るのですが、ごく稀に炎症がひどいと治る過程で腸が細くなってしまうんです。

その結果便秘になることがあります。

虚血性腸炎に関しては以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。

 

 

べんぴ先生

狭窄というのは大腸が狭くなってるっちゅうことや。あとはこの検査で逆に腸が拡張している病気もわかる。具体的にはCIPO(慢性特発性偽性腸閉塞症)巨大結腸症という病気や。どっちも珍しいから、ごくたまにしか遭遇することはないくらいや。覚えんくてええよ。

腸が拡張する病気

・CIPO(慢性特発性偽性腸閉塞)

・巨大結腸症

 

この中でやっぱり圧倒的に多いのは大腸ガンです。

便秘で悩んでるなら大腸カメラだけは嫌でも受けといたほうがいいです。日々診療にあたってる中でも大腸ガンはかなり多い印象があります。

 

ガンコちゃん

そうなんですね。大腸ガンだけは要チェックや、と。

排便困難型と排便回数減少型の便秘

べんぴ先生

ここまでに出てきたような病気ははっきり言ってどこで受けても見逃されることはほとんどないやろな。ただ、問題はこの後や。

 

ガンコちゃん

ごくり。

 

べんぴ先生

こっからが大事なんや。まずは症状によって大きく2つに分類される。「排便回数減少型」と「排便困難型」や!!つまりな、排便の回数が少ない人と、排便しても出しきれへん人がいるっちゅうことや。

 

ガンコちゃん

なるほど。

便秘は症状によって排便回数減少型と排便困難型の2つに分けるで

要するにお尻の問題なのか、お腹の問題なのかということやで!

 

べんぴ先生

これはしっかり患者さんの話を聞けばある程度わかる。まずは排便困難型かどうかを聞くんや。

排便困難型便秘症

べんぴ先生

排便困難型の人は、便秘やのに排便回数が多い傾向があるんや。つまり、便は直腸(肛門のすぐそばの腸)にあるのに上手に気張ってたくさんの量の便を一度に出せへんから残便感(便が残っている感覚)があって何度もトイレに行くんや。

ただし残便感に関しては気をつけなければいけません。

お腹に残っている感じがするのは残便感とは呼びません。

あくまでも肛門近くに便が残っている感じがするのが排便困難型の特徴です。

お腹ではなくてお尻の近くに便が残っている感じがするのが排便困難型の特徴やで

ガンコちゃん

ふむふむふむ。他に排便困難型の人の特徴ってあるんですか?

べんぴ先生

よっしゃよっしゃ。書き出してみよか。

排便困難型の特徴

・便をうまく出せないからトイレの時間が長い(トイレジャック)

・会陰部(膣と肛門の間)に違和感がある

・膣の中に自分の指を入れてお腹側から押さえ込むとうまく排便できる

・直腸に指を入れて掻き出す

ガンコちゃん

こんなにも大変なんや!! 自分で指を入れるなんて・・・知らなかったです。

べんぴ先生

たかが便秘と思うかもしれへんけど、毎日のことやから大変なんや。

 

べんぴ先生

具体的に排便困難型にはどんな鑑別があるのか見てみよか。

排便困難型の便秘

・硬便による排便困難

・便排出障害(機能性・器質性)

・排便強迫神経症

ガンコちゃん

何やまたようわからん言葉がたくさん。

 

べんぴ先生

よしよし、説明しましょ。まず一番上。硬い便が直腸にたまってるのを想像してみよ。硬い便は出しにくいから、排便困難になってしまうわな。これの特徴は便秘薬を内服すればある程度すっきり出せるということや。つまり、下剤を飲めば肛門近くに便が残っている感覚があんまりないという人がこのグループに入るわ。

便が柔らかい時に残便感がない人は本物の便排出障害ではない可能性が高いで。

 

ガンコちゃん

これは私もそうかもしれません。

べんぴ先生

このグループに入る人は多いやろな。このタイプの人達は後に述べる排便回数減少型の鑑別に行ってもらうとええやろな。

 

ガンコちゃん

わかりました。次に行きましょか。

 

べんぴ先生

次が一番大事なんや。「便排出障害」これを診断するには少し特殊な検査が必要になってくるんや。

便排出障害を正しく診断するためには専門的な検査が必要やで

専門的な検査

・デフィコグラフィー(排便造影検査)

・直腸肛門内圧・感覚検査

・肛門管超音波検査

これらの検査については別の記事でご紹介しますね。

話すと長くなってしまいますので。

ガンコちゃん

何やけったいな感じしてきましたね。

 

べんぴ先生

「けったい」というのが正しい表現かどうかは置いといて、患者さんにとっては少しハードルの高い検査になってしまうやろな。あとはこの検査をしっかりやっている病院が少ないというのも問題や。

ガンコちゃん

困っている人が多いのに病院が少ないとは・・・

べんぴ先生

この検査で異常がなかった人はさっきの図の一番下の排便強迫神経症」である可能性が高いやろな。これはいわゆる「幻の便秘」と呼ばれるもんで、真の便秘ではないんや。

つまり、本当は直腸に便はないのに便がいっつも出そうな感じがあるということです。

下剤を頻繁に使っている方に多い印象がありますね。

これは患者さんの思考回路を変えてあげる必要があります。

ガンコちゃん

あるよあるよと思っていても本当はないんですよ〜ということですね?

べんぴ先生

その通りやで。

排便強迫神経症=幻の便秘 マインドセットを変えてあげる必要があるんやで。

ガンコちゃん

「幻の便秘」か・・・ 色々あるんですねえ。

 

べんぴ先生

そや。便秘と一言で言うけど原因は山ほどある。なかなか難しいんや。それじゃあ、この中で一番大事な「便排出障害」について説明していこか。

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ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医