便秘・下痢

あなたの便秘の原因は何?全部チェックしてみよう

排便回数減少型便秘症

べんぴ先生

うむ。とにかく、これで排便困難型のことはある程度説明できた。具体的な検査や治療は別のところで改めて説明しましょ。次は排便回数減少型や。こっちの方が排便困難型よりイメージしやすいと思うで。

 

ガンコちゃん

そうなんですね。すでにちょっと疲れてます。

 

べんぴ先生

よく頑張ってついてきてるで。もうちょっとや。まず排便回数減少型について考える時に大腸通過時間という概念について説明しておかなあかん。

 

ガンコちゃん

大腸通過時間・・・。これはイメージしやすいですね。便が大腸をどれくらいの時間で通過してお尻から出るかってことですね。

べんぴ先生

その通りや。慢性便秘症診療ガイドラインでは大腸通過時間が長いか正常かで排便回数減少型を大きく2つに分けて考えているんや。しかしな、僕はこの「大腸通過時間」という考えを使って診療を行うのは難しいって考えてるんや。

 

ガンコちゃん

どうしてですか?わかりやすい考えなのに。

 

べんぴ先生

大腸通過時間を計測する方法は3種類くらいあるんやけど、実臨床で使われているのはマーカー法というもんや。具体的にはマーカーと呼ばれるものを内服してもらって、そのあとレントゲンでどれくらいの割合のマーカーが便として排出されていて、さらに残っているものの分布を見てどんな型の便秘かを見るっちゅう検査や。

 

ガンコちゃん

なんか簡単で良さそうに見えるのに。

 

べんぴ先生

でもな、まずこの検査は日本では保険収載されてないんや。自費診療でやるか研究としてやるかってとこや。それに加えて聞いた話ではこのマーカーはもう作られへんようになるらしいんや。そうやとすると大腸通過時間を図るのは結構難しくなるんや。

 

べんぴ先生

まあ、そもそもこのマーカー法も色々問題はあって、そもそも大腸通過時間じゃなくて全消化管通過時間を測定しているしな。

 

説明しましょう。

口からマーカーを飲んだら当たり前ですが、食道➡︎胃➡︎十二指腸➡︎小腸を通ってから大腸に行くわけです。

つまり、純粋に大腸だけの機能を測定できているわけではないんです。

なので、この検査にどれほどの意味があるのかは甚だ疑問ですね。

 

ガンコちゃん

そんな気がしてきますね。

 

べんぴ先生

もちろん色んな考えがあっていいんやと思ってるけどな。少なくとも先生はそう考えてる。

 

大腸通過時間について考えるのは今のところほどほどにしておきましょ

べんぴ先生

そんな理由で「大腸通過時間」という概念は省かせてもらって、排便回数減少型の便秘を一緒に分類していこう。ここからはガイドライン通りで考えてくで!

 

ガンコちゃん

はい!

 

べんぴ先生

下の図を見てみて。

 

 

 

 

べんぴ先生

これは何となくイメージしやすいやろな。こっからは内科医の出番という感じや。便秘をしっかり診療しようとすると、内科の知識と外科の知識両方が必要なんや。便秘だけやなくて全身を見ながら診療に当たらんとあかんのや。

便秘を治療するには全身を見る必要があるで。思ってるより深いんやで。

ガンコちゃん

たしかに排便困難型よりわかりやすそうですけど、やっぱり難しそうです。

 

べんぴ先生

ちなみに「症候性」とういのは何か病気がもとにあってそのせいで便秘になっているという意味や。「特発性」というのは原因がよくわからんという意味や。

症候性と特発性

・症候性=何か病気が元にあって便秘になる

・特発性=原因がわからない

 

ガンコちゃん

ちなみに今更なんですけど、排便回数減少型ってどれくらい回数が少ないものを言うんですか?

 

べんぴ先生

良いところに気がつたいな。厳密には週3回未満とされてる。しかしな、そこまで厳密に考えずに「快適に便が出せているかどうか」で判断すればえーと思うんや。

 

ガンコちゃん

快適かどうかって主観的でわかりやすくていいですね。

 

快適に便が出せていないなら、便秘と呼んでいいんとちゃうやろか

 

べんぴ先生

あとは大事なことがあって、排便困難型でも排便回数減少型でも分類はもちろん大事やねんけど、あなたはこの分類です!っていうようにクリアカットに説明出来る人はそんなに多くない。合わせ技一本というのが多いと思うんや。患者さん一人一人に合わせてオーダーメイドに治療をしなきゃあかんね。

 

何事もクリアカットにはいかへんよ。

薬剤性

べんぴ先生

それじゃ排便回数減少型の原因別に考えていこ。まずは薬剤性からや。

 

ガンコちゃん

クスリって体の悪いところを治してくれると思ってたのに。悪さもするんですね。

 

べんぴ先生

クスリを処方するときは必ず副作用についても考えないとあかん。

便秘は若い女性と高齢の方(男女とも)に多いのですが、基本的には若い女性は精神疾患でもない限りはたくさん薬を飲んでいるということは稀なので、そこまで深く考えんでも良いかと思います。

高齢の方はたくさんの薬を飲んでいることがかなり多いですね。

しかもご自身でどんな種類の薬をどれくらいの量を飲んでいるか把握されている方はごく一部しかいらっしゃらないのが現状です。まずはどんな薬を内服されてるか、把握することから始めましょう。

 

ガンコちゃん

若い女性と高齢の方で考え方を変えないとあかんということですね。なるほどなるほど。

若い女性と高齢者では対応が大きく変わってくるんやで。

べんぴ先生

最近はたくさん薬を内服していることをポリファーマシーと言って、これが結構な問題になっているわけや。高齢になってくると代謝も落ちるからな。胃薬でも意識障害になるっていう事例も経験したりするで。

 

しかも

薬を処方するときよりも止める時の方が判断が難しいのです。

 

医者は薬を処方する時はこの薬が本当に目の前の患者さんにとって必要かを考えて、覚悟を持って出さないといけません。

薬を減らすのは本当に難しいですよ。

薬を増やすのは簡単やけど、減らすのは難しいんやで。

 

ガンコちゃん

薬も奥が深いんですね。いっぱい薬出されたら、こっちもお金かかりますしね。

 

べんぴ先生

単なる風邪に抗生剤を含めて5種類くらい薬を出してる処方なんか見ると泣けてくる時あるんや。しかも咳止めなんかも便秘になってしまうしな。総合感冒薬を内服してから1週間便が出ませんっていう患者さんは稀じゃないで。正直何度も経験してるわ。

ガンコちゃん

風邪で5種類も・・・病気が悪化しそうですね。

 

べんぴ先生

ちょっと話が逸れてしまったわ、ごめんごめん。どんな薬が便秘を引き起こすか下の表にまとめてみたから一緒に見ていこ!

 

 

 

ガンコちゃん

こんなにいっぱいあるんですね。なんやまためまいが・・・

 

べんぴ先生

本当はもうちょっとあるやろな。ここでは色んな薬が便秘を引き起こし得るということを理解してもらえれば十分や。これもまた別の所でもっと詳しく説明するわ。

 

いろんな薬が便秘を引き起こしてしまうんやで。

 

べんぴ先生

この中でよくあるのは抗コリン薬やろな。抗コリン薬というのはけっこう色んな薬の中に入ってるから注意が必要や。総合感冒薬や過活動膀胱、睡眠薬やパーキンソン病の薬、精神病の薬なんかにも含まれているんや。

 

抗コリン薬は聞き慣れへん言葉やけど、便秘とは切っても切れない関係やから覚えておいた方がええで。

 

ガンコちゃん

風邪薬や鉄剤なんかは私でも飲んだりするんで注意が必要なんですね。

 

べんぴ先生

大事なことは、まずこの薬を中止できるか。もし中止できないくらい患者さんにとって大事な薬であれば、同じような効果のある薬で便秘の副作用を引き起こしにくい他の薬に変更できないかを考えることなんや。そのために他の科の先生、他の病院の先生と連絡を取り合うこともしばしばある。

不要な薬は中止。必要なら変更可能か考えるんやで。

 

ガンコちゃん

今の話を聞いてると、あんまり必要のない薬は飲まないほうがええってことですね。

 

べんぴ先生

そういうこっちゃ。次は「症候性」について話すわ。下の図を見てくれ。

症候性便秘症

 

 

 

べんぴ先生

「症候性」というのはさっきも説明した通りで何か病気がもとにあってそのせいで便秘になっているっていう意味や。まずは神経疾患から見ていこう。

神経疾患

・多発性硬化症

・脳梗塞

・脊髄病変

・パーキンソン病

・認知症

・自律神経障害

神経疾患にはこのような病気が含まれています。

ガンコちゃん

あかん、めまいがあっっ!!

べんぴ先生

だから覚える必要はないって。

 

神経疾患で便秘になる時は、他にも色んな神経症状が一緒に出ていることが多いです。

 

簡単に説明しますと、多発性硬化症というのは比較的若い女性に多い病気で、中枢神経の脱髄疾患と言って脳から脊髄にある神経を覆っている部分が破壊される病気です。

ちょっと難しいですね。

脊髄病変っていうのは例えば交通事故なんかで脊椎損傷になったり脊髄に腫瘍ができたりっていうのがあります。

この中で一番難しいのは、パーキンソン病かもしれませんね。

最近ではパーキンソン病と便秘の関係が注目されるようになってきています。特に腸内細菌の研究が進んでいる分野ですね。

神経疾患に便秘を合併した時は、本当に頭を悩まされることが多いですね。

今は新しい便秘薬がどんどん出てきているので、どの疾患にどんな薬が合うかをしっかりと考えていく必要があります。

神経疾患で便秘になってしまう時は、治療に難渋することが多いんやで。

 

ガンコちゃん

神経の病気ってなんや難しそうですね。

べんぴ先生

比較的とっつきにくいわな。最近では「脳腸相関」というのが話題になっている。文字通り脳と腸がお互いに影響を及ぼしあっているっちゅうことや。ストレスを感じるとお腹が痛くなる時ないか?今は学会でもトレンドなんや。

 

ガンコちゃん

覚えておきます。

 

脳腸相関という言葉は覚えておいて損はないかもしれへんで。

べんぴ先生

次は精神疾患を見ていこう。

便秘を引き起こす精神疾患にはうつ病心気症があります。

精神疾患

うつ病

心気症

心気症というのは自分が大きな病気にかかっているんじゃないかと思い込むことで、不安が生じる病気です。

不安障害やうつ病なんかと関連していると言われています。

 

精神疾患の方はたくさん薬を内服されていることが多いです。

精神科の薬の中には強い抗コリン作用(薬のところで出てきましたね。)を持つものもあり、結果として便秘になってしまいます。精神科の薬の中にも抗コリン作用が少ないもの、全くないものもあるので、変更できるなら変更した方がいいですね。

これについては以下の記事で説明していますので、参考にしてくださいね。

 

ガンコちゃん

なるほどなるほど。

 

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ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医