便秘の原因を突き止めるための検査を全部解説するで!!
みなさんこんにちは。
べんぴ先生です。
今日は便秘の原因を突き止めるために必要な検査について丸っと勉強していきましょう!!
大腸カメラ検査などのよく知られている検査から、皆さんがご存知ないような検査までいっぱい紹介していきますね。

便秘に必要な検査ってどんなものがある?
今回は便秘の鑑別に必要な検査について勉強していくで。
お願いします!そやけど先生、便秘の検査なんて大腸カメラとかCTで終わりやないですか?
そんなことはないで。今ガンコちゃんが言ったようなものは通常検査と呼ばれるもんや。実はもう一つ専門的機能検査というものがあるんや。
この2つが便秘の原因を鑑別していくのに重要な検査なんや。しかし、この専門的機能検査ができる病院が少なすぎるがゆえに、あんまり知られてないのが現状や。そやからガンコちゃんがそう思うのも無理はない。
そうなんですか。具体的にはどんな検査があるんです?

一人の患者さんに全部検査をやるわけやないよ。それぞれの患者さんに必要な検査を選んでやっていくんや。
それでは検査を一つ一つ見ていきましょう。
通常検査
血液検査
これはガンコちゃんもよく知ってるやろ?腕から血液をとるだけや。
血液検査だけでもある程度のことがわかるんや。例えば代謝疾患と呼ばれるものや。代謝疾患には以下のものがあるんやったね。
便秘を引き起こす代謝疾患
・糖尿病
・甲状腺機能低下症
・慢性腎不全
・電解質異常
これに関しては以下の記事でまとめていますので参考にしてくださいね。
こんなのありましたねえ。具体的にはどんな数値を気にすればいいんですか?
ヘモグロビン(貧血の値)とか血清クレアチニン(腎臓の値)なんかは、どんなところで採血してもほとんどの場合含まれているやろな。便秘の原因を鑑別したいのであれば、そういう一般的な採血項目に加えて次のような項目が必要や。
必要な血液検査項目
TSH T3 T4
カルシウム/マグネシウム
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
ちなみにTSHやT3、T4というのは甲状腺関連のホルモン関係の値です。
甲状腺というのは首の前にあるホルモンを分泌する臓器ですよ。
甲状腺に異常が起こると便秘や下痢になったりすることがあるんですね。
特に甲状腺の機能が低下してしまった時に便秘になりやすいと言われています。
HbA1cは糖尿病をチェックする値ですね。
こちらの方がよく耳にする英語だと思います。
糖尿病もコントロールが悪いと、自律神経に障害が起こって便秘になるんやで。
若いうちから気をつけなあかんで。
もちろん血液検査の値をしっかり読むというのは実に難しい。そやけどこれくらいは誰でもやっておくべきというものを載せたで。この中で特に見落とされがちなのはカルシウムやと思う。
カルシウムって私でも知ってるやつやないですか!そんなんお医者さんが見落とすことあるんですか?
それが結構あるんや。だいたい病院では採血項目がセットになったものがあるんや。例えば基本セットというようにな。でもこの基本セットにはカリウムとかナトリウムは入っているんやけどカルシウムが組み込まれてないことが多い印象や。
そうや。カルシウムが高い、つまり高カルシウム血症では便秘が起こりやすいんや。
では、カルシウムの値が高くなる時は一体どんな病気を考えたら良いのでしょうか?
カルシウムが高くなる病気
・悪性腫瘍
・副甲状腺がおかしい
・ビタミンD中毒
悪性腫瘍というのは癌やリンパ腫などの病気ですね。
副甲状腺は聞きなれない言葉かと思いますが、甲状腺のすぐ近くにある小さなぽっちみたいな臓器です。甲状腺と同じくホルモンを分泌します。
僕も医者になるまで副甲状腺なんて臓器は知らなかったで。
副甲状腺の機能が亢進する、つまり働きすぎるとカルシウムの値が上がってしまいます。
服甲状腺が働き過ぎる病気の中では原発性副甲状腺機能亢進症が一番多いと言われていますね。
ちなみに副甲状腺の働きは、血液検査でパラソルモン(PTH)という値を見ればわかります。
副甲状腺の働きはパラソルモン(PTH)を見ればええんやで。
なんや難しいですわ。副甲状腺・・・やっぱり便秘には色んな臓器が関わってるんですねえ。
そうや。でもこーゆうのは比較的稀やけどね。「こんな病気もあるよ」くらいの感覚で聞いてくれたらええで。
逆にビタミンD中毒はそこそこ見る機会があります。
ビタミンDはカルシウムと密接に関係しているので、ビタミンDが増えすぎると高カルシウム血症になってしまうんですね。
ビタミンD中毒は医原性が多いです。
医療を行うことで病気が起きてしまうことや。この場合やと薬とかサプリメントが原因になるね。
ビタミンDは水に溶けないので、摂取しすぎてもおしっこで流れていってくれません。
サプリメントも取りすぎに注意が必要なんですね。
特に最近では骨粗鬆症の薬としてビタミンDを飲むことがありますので、定期的にカルシウムの値を測定する必要があります。
医原性はなるべく避けたいねん。たまには血液検査をしよね。
画像検査
ここではレントゲン・CT検査、内視鏡検査、注腸検査について説明していくよ。
これは馴染みのある名前ばっかりですね。ところで注腸検査っていうのはなんですか?
注腸検査は要するにバリウムを使った検査や。胃のバリウム検査は知ってるやろ?口からバリウムを飲んで胃の写真をとるんや。大腸の場合は専用のチューブを使ってお尻からバリウムを入れるんや。そして大腸の写真をX線でとっていくっていう検査や。
絶対嫌なやつやないですか!!そんなんできません!!
ガンコちゃんの気持ちはよくわかるよ。今の大腸検査の主流ではなくなっているのが現状や。今は健康診断で便潜血検査を行ったり、大腸内視鏡検査を行うことが多くなっているわ。まあでも内視鏡もお尻から入れるんやけどね。
便秘の原因はお尻の付近にあることが多いから、どうしてもそのような検査が多くなってしまうのは仕方のないことや。
ちなみに僕のおすすめ検査は大腸CT検査です。
これもやっぱりお尻に同じようなチューブを入れるんや。その上でCTをとるんやけど、これが実に素晴らしい検査やと僕は思ってる。
通常は大腸の中をCTで撮影して、ポリープや進行癌などあるかどうかを見るんや。そやけど僕は大腸の形も見るんや!!
大腸の形なんてみんな同じやないんですか?だって「の」の字でしょ、先生?
仮に形がわかったとしてどうするんですか?へ〜って感じで終わるんやないんですか?
これは久里浜医療センターの水上健先生が提唱されている考えやねんけどな、人それぞれ大腸の形は違っていて、大腸がねじれたり骨盤の中に落ち込んだりしている人がいるんや。そして、その形に合わせて適切なマッサージと少量の下剤で便秘やIBS(過敏性腸症候群)を治そうっていう考えや。
僕も実際に水上先生の元に伺って勉強させてもらったけど、すごく面白い考えやなと思ったで。実際に自分の診療にも取り入れさせて頂いてるしね。
ねじれ腸や落下腸については以下の記事を参考にしてくださいね。
大腸CTめっちゃいいやないですか!!早速検査を受けたくなってきました!!
待て待てガンコちゃん!それが大腸CTをこういう目的で行っている医者はなかなかおらんのや。はっきり言ってあんまり誰も理解してくれへん。そこが宝の持ちぐされなんや。残念なことにな。
大腸CTは良い検査やけど、ほとんどの医者は大腸の形を見るために使っているわけやないで。
あとはレントゲンな。レントゲンだけでも相当な情報量が詰まっているんや。便の量を把握したり、分布もわかる。具体的には体の右側に便が溜まっているんか、左側なんか、全体に溜まっているのか、直腸だけなのか。便秘と患者さんがおっしゃっても便がほとんどないって場合も結構あるよ。
そして被曝量もCTに比べて圧倒的に少ない。
意外かもしれませんが、初診時の検査を除けば便秘診療の検査の中心はレントゲンです。
レントゲン検査の重要性については以下の記事でまとめてありますので参考にしてくださいね。
放射線の被曝もバカにならないですもんね。特に女性は気にしますよ。
その通りや。あと本当に大事なことやから何度でも言うけど、注腸検査・内視鏡検査・大腸CT検査、なんでもいいから大腸ガンだけは否定しておくように!!これだけは絶対や。
やっぱりガンは怖いですもんね。私はまだ大丈夫やと思いますけど。
甘い!!30代でも大腸ガンは意外とあるよ。特にご家族に大腸ガンの方がいらっしゃる方や、そうやなくてもガン家系の方は必ず定期的な検査を早いうちから受けといたほうがいいで。早期癌で見つかればほとんど再発はないからね。
便秘診療で命に関わる病気は大腸癌やで。本当に増えているからみんな検査を受けてください。