便秘・下痢

パーキンソン病の薬と便秘

 

こんにちは。

 

今日はパーキンソン病のお薬について解説していきます。

 

全部読んでもらったらお分かりかと思いますが、具体的なお薬の名前は出てきません。

なぜならパーキンソン病で使われるお薬のほとんど全てが便秘を引き起こすからです。

 

少し難しい内容ですが頑張ってついてきてください。

 

 

べんぴ先生

今回はパーキンソン病の薬について説明していこう。

ガンコちゃん

お願いします!

 

べんぴ先生

パーキンソン病というのは簡単にいうと神経の病気や。

神経の異常が原因で体が思うように動かなくなる病気と言ったらわかりやすいかな?

ドパミンとアセチルコリンと呼ばれる物質のバランスが崩れていることからパーキンソン病は起こると言われているんや。

 

ガンコちゃん

体が動かなくなる・・・

 

べんぴ先生

覚えておいて欲しいのは、ドパミンが減少して、相対的にアセチルコリンが増加しているということや。このバランスの悪さが重要なんや。

 

ガンコちゃん

またコリンですか。。コリンは腸にとってよっぽど大事なんですねえ。

 

 

 

 

べんぴ先生

まあでも最近はパーキンソン病の原因がだんだんわかってきて、どうも黒質という脳の場所の問題だけではないということがわかってきたんや。

全身の病気ではないかと疑われているんや。

 

ガンコちゃん

ふむふむ。

 

べんぴ先生

パーキンソン病と便秘の関係については何度も出てくると思うし、またブログでも取り上げるつもりやけど、簡単にいうと黒質の問題だけじゃなくて迷走神経背側核という部位の異常、腸管壁内(Auerbach神経叢)副交感神経線維の変性などが便秘の原因になってるんじゃないかと言われてきているんや。(全然簡単じゃないですね。体のいろんなところに原因があるということを分かって頂けたらOKです。)

 

その結果として直腸肛門機能障害、大腸の機能低下、吸収障害、胃の排出遅延、摂食障害なんかが起こるんやね。パーキンソン病で起こる便秘はいろんな機能が低下することが原因やから治療も自ずと難しくなるんや。

あとは腸内細菌とパーキンソン病の関係はめちゃくちゃホットな話題やね。

 

べんぴ先生

便秘みたいな自律神経障害や臭覚障害(においが感じにくくなる)が、パーキンソン病の典型的な運動障害よりもだいぶ前に出現するというのは有名な話やしね。

 

ガンコちゃん

ふーん。

 

べんぴ先生

まあここら辺は難しいから聞き流してちょうだい。ここで大事なんはやっぱりドパミンが減少して、相対的にアセチルコリンが増加しているということや。パーキンソン病の治療薬を説明する時にはこのバランスの悪さが重要なんや。

 

べんぴ先生

つまりさっきのグラフをバランス良くしたいんや。

 

 

 

 

ガンコちゃん

これはわかりやすいですね。

 

べんぴ先生

こんな風にバランスをよくするにはどうしたらええかわかるか?ガンコちゃん。

 

ガンコちゃん

ドパミンを増やすか、アセリルコリンを減らせばええんとちゃいますか?

 

べんぴ先生

その通りや。パーキンソン病の治療薬のほとんどはドパミンをどうやって増やすか考えられた薬や。アセチルコリンを減らすためには抗コリン薬がいいのはもう説明した通りやね。

 

ガンコちゃん

なるほどなるほど。理にかなってますねえ。

 

べんぴ先生

ドパミンというのはアセチルコリンを抑制してるんや。つまりドパミンを増やすと自動的にアセチルコリンを抑制する、つまり腸管の動きを止める方向に働く。そして抗コリン薬はもちろん腸の動きを止める方向に働く。そやから、パーキンソン病の治療をするということ自体が「便秘になりますよ〜」って言っているようなもんやと先生は考える。

 

ガンコちゃん

大腸にとっては何や辛い話ですね。

 

べんぴ先生

そうや。でもパーキンソン病で出現する運動障害は辛いし、日常生活もまとも送られへんようになってしまうから、そっちはしっかり治療して、便秘の方は薬で何とかしましょうという考えや。

ガンコちゃん

薬で便秘が何とかなるもんなんですか?

 

べんぴ先生

正直パーキンソン病の便秘のコントロールは非常に難しい。

「パーキンソン病の便秘はラスボスや!」っていっつも思ってるんや。でも何とかしないとあかんからな。

漢方薬の大建中湯ガスモチンというお薬を使って腸をどんどん動かしていって、それでダメやったら浣腸や座薬を屯用で使ってコントロールをしていく必要があるわ。

なかなか思うようにいかへんことが多いけどな。

 

 

べんぴ先生

あとは便秘自体がレボドパみたいな薬の吸収を悪くしてしまうこともあって、さらに悪い流れになってしまうんや。

通常パーキンソン病では急性増悪と言って急に悪くなることはあんまりないと言われているんやけど、たまに急に体の動きが悪くなられる患者さんがいらっしゃるんや。

そんな時に便を下剤なんかで思いっきり出してあげると急にスタスタ歩き出す方がおられるっちゅう話はたまに聞くよ。

便秘が解消されたことでパーキンソン病治療薬の効果が上がるんやろね。

 

ガンコちゃん

パーキンソン病と便秘がお互いに影響しあっているということですね。意外と勉強してみると面白いもんですね。

 

べんぴ先生

そうやで。いろんなことを勉強すると楽しいんや。

パーキンソン病の薬はこういうわけで具体的にどれがどのくらい便秘を引き起こすという話はやめておくわ。

総じて排便には何かしらの影響を及ぼすっちゅうことや。それを今ある既存の便秘治療薬でどう治していくかって考えましょうってことや!!

 

ガンコちゃん

今日の授業は難しかったですねえ。

べんぴ先生

そりゃあよかった。付け加えるとパーキンソン病では直腸肛門機能障害がかなりの割合で出ると言われてるんや。普通ならそういう患者さんにはバイオフィードバック療法が効くことが多いんやけど、パーキンソン病の患者さんだけに絞って考えた時にはその有効性が示された論文や文献はあんまりなさそうや。少なくとも僕は探せなかった。

ガンコちゃん

やっぱり便秘治療薬の選択が大事ってことですね。

 

べんぴ先生

それが言いたかったんや。

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医