こんにちは。
今日はパーキンソン病のお薬について解説していきます。
全部読んでもらったらお分かりかと思いますが、具体的なお薬の名前は出てきません。
なぜならパーキンソン病で使われるお薬のほとんど全てが便秘を引き起こすからです。
少し難しい内容ですが頑張ってついてきてください。

パーキンソン病というのは簡単にいうと神経の病気や。
神経の異常が原因で体が思うように動かなくなる病気と言ったらわかりやすいかな?
ドパミンとアセチルコリンと呼ばれる物質のバランスが崩れていることからパーキンソン病は起こると言われているんや。
覚えておいて欲しいのは、ドパミンが減少して、相対的にアセチルコリンが増加しているということや。このバランスの悪さが重要なんや。
またコリンですか。。コリンは腸にとってよっぽど大事なんですねえ。

まあでも最近はパーキンソン病の原因がだんだんわかってきて、
どうも黒質という脳の場所の問題だけではないということがわかってきたんや。全身の病気ではないかと疑われているんや。
パーキンソン病と便秘の関係については何度も出てくると思うし、またブログでも取り上げるつもりやけど、
簡単にいうと黒質の問題だけじゃなくて迷走神経背側核という部位の異常、腸管壁内(Auerbach神経叢)副交感神経線維の変性などが便秘の原因になってるんじゃないかと言われてきているんや。(全然簡単じゃないですね。体のいろんなところに原因があるということを分かって頂けたらOKです。)
その結果として直腸肛門機能障害、大腸の機能低下、吸収障害、胃の排出遅延、摂食障害なんかが起こるんやね。パーキンソン病で起こる便秘はいろんな機能が低下することが原因やから治療も自ずと難しくなるんや。
あとは腸内細菌とパーキンソン病の関係はめちゃくちゃホットな話題やね。
便秘みたいな自律神経障害や臭覚障害(においが感じにくくなる)が、パーキンソン病の典型的な運動障害よりもだいぶ前に出現するというのは有名な話やしね。
まあここら辺は難しいから聞き流してちょうだい。ここで大事なんはやっぱりドパミンが減少して、相対的にアセチルコリンが増加しているということや。パーキンソン病の治療薬を説明する時にはこのバランスの悪さが重要なんや。

こんな風にバランスをよくするにはどうしたらええかわかるか?ガンコちゃん。
ドパミンを増やすか、アセリルコリンを減らせばええんとちゃいますか?
その通りや。パーキンソン病の治療薬のほとんどはドパミンをどうやって増やすか考えられた薬や。アセチルコリンを減らすためには抗コリン薬がいいのはもう説明した通りやね。
ドパミンというのはアセチルコリンを抑制してるんや。つまりドパミンを増やすと自動的にアセチルコリンを抑制する、つまり腸管の動きを止める方向に働く。そして抗コリン薬はもちろん腸の動きを止める方向に働く。そやから、パーキンソン病の治療をするということ自体が「便秘になりますよ〜」って言っているようなもんやと先生は考える。
そうや。でもパーキンソン病で出現する運動障害は辛いし、日常生活もまとも送られへんようになってしまうから、そっちはしっかり治療して、便秘の方は薬で何とかしましょうという考えや。
正直
パーキンソン病の便秘のコントロールは非常に難しい。「パーキンソン病の便秘はラスボスや!」っていっつも思ってるんや。でも何とかしないとあかんからな。
漢方薬の大建中湯やガスモチンというお薬を使って腸をどんどん動かしていって、それでダメやったら浣腸や座薬を屯用で使ってコントロールをしていく必要があるわ。
なかなか思うようにいかへんことが多いけどな。
あとは
便秘自体がレボドパみたいな薬の吸収を悪くしてしまうこともあって、さらに悪い流れになってしまうんや。
通常パーキンソン病では急性増悪と言って急に悪くなることはあんまりないと言われているんやけど、たまに急に体の動きが悪くなられる患者さんがいらっしゃるんや。
そんな時に便を下剤なんかで思いっきり出してあげると急にスタスタ歩き出す方がおられるっちゅう話はたまに聞くよ。
便秘が解消されたことでパーキンソン病治療薬の効果が上がるんやろね。
パーキンソン病と便秘がお互いに影響しあっているということですね。意外と勉強してみると面白いもんですね。
そうやで。いろんなことを勉強すると楽しいんや。
パーキンソン病の薬はこういうわけで具体的にどれがどのくらい便秘を引き起こすという話はやめておくわ。
総じて排便には何かしらの影響を及ぼすっちゅうことや。それを今ある既存の便秘治療薬でどう治していくかって考えましょうってことや!!
そりゃあよかった。付け加えるとパーキンソン病では直腸肛門機能障害がかなりの割合で出ると言われてるんや。普通ならそういう患者さんにはバイオフィードバック療法が効くことが多いんやけど、パーキンソン病の患者さんだけに絞って考えた時にはその有効性が示された論文や文献はあんまりなさそうや。少なくとも僕は探せなかった。