便秘・下痢

泌尿器科の薬と便秘

 

 

べんぴ先生

今日は泌尿器科で処方されるお薬で、便秘を引き起こしてしまうものについて説明していこう。

ガンコちゃん

お願いします。

泌尿器科の病気やと何となく便秘と関係ある気がしますね。

場所も腸と近いですし。

 

べんぴ先生

その通りや、ガンコちゃん!例えば尿失禁と便失禁の治療法は驚くほど共通点が多いんや。

似ているんやけど泌尿器科の薬で便秘を引き起こしてしまうことは稀ではないよ。

その理由はわかるかい?

 

ガンコちゃん

うーん・・・ようわかりません。

 

べんぴ先生

これまた抗コリン薬なんや。

 

ガンコちゃん

でたコリン!!

色んなところで出てきますねえ。。

 

べんぴ先生

いっぱい出てくるで!泌尿器科の薬では特に過活動膀胱の薬に使われることが多いんや。

 

ガンコちゃん

カカツドウボウコウってどんな病気なんですか?

 

べんぴ先生

過活動膀胱診療ガイドライン第2版によると「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿と夜間頻尿を伴い、切迫性尿失禁は必須ではない。また、その診断のためには局所的な病態を除外する必要がある。」とされているよ。

 

ガンコちゃん

長くてようわかりませんけど、つまり「おしっこがいっつも漏れそう」ってことですか?

 

べんぴ先生

そんな感じでいいと思う。膀胱が過敏になってしまっているってことやな。

ちなみに過活動膀胱は神経が原因のものとそうでないもの、つまり神経因性と特発性に大別されるんや。

 

ガンコちゃん

抗コリン薬はどうして使われるんですか?

 

べんぴ先生

膀胱の収縮にもやっぱりアセチルコリンが関係しているんや。

膀胱が収縮することで尿がだされるわけやから、この働きを抑えてあげればええっちゅう考え方やね。

 

べんぴ先生

ちなみに興味深いことに過活動膀胱の治療薬の選択は女性と男性で大きく変わってくるんや。

女性に関しては抗コリン薬がメインになることが多い。

そして最近よく使われるのがミラベグロン(ベタニス®︎)という薬や。この薬はβ3作動薬に分類されるんやけど、β3は膀胱の筋肉をゆるめる働きがあるから、過敏になった膀胱をだらーんとさせるイメージの薬やね。

このミラベグロンは便秘や口渇感(口が渇く)などが抗コリン薬に比べて少ないのです重宝されているんや。

最近さらにもう1剤ビベグロン(ベオーバ®)という同じような薬が出たようや。

 

ガンコちゃん

なるほど。

男性に関してはどうなんですか?

 

べんぴ先生

男性に関しては前立腺肥大があるかどうかで治療薬が変わってくるんや。

前立腺って何か知ってるかい、ガンコちゃん?

ガンコちゃん

前立腺って大きくなるとおしっこが出にくくなるっておじさんが言ってました。

 

べんぴ先生

そや。前立腺は膀胱の下側にあって尿道(おしっこの通り道)を丸っと囲んでいる臓器や。男性にしかないんやよ。

前立腺が肥大すると尿は出にくくなるんや。この肥大があるかどうかで治療薬が変わってくるっちゅうことや。

 

ガンコちゃん

具体的にはどう違うんですか?

 

べんぴ先生

前立腺肥大のない男性は基本的に女性と同じや。抗コリン薬とβ3作動薬をうまく使っていくんや。

立腺肥大のある男性はα1遮断薬をまず使うんや。それで改善しなければ抗コリン薬やβ3作動薬、5α還元酵素阻害薬といった薬を一緒に使っていくんや。

この辺りは聞き流してもらっていい。

ただ、過活動膀胱と抗コリン薬は切っても切れない関係というのは理解してくれ!

 

ガンコちゃん

小難しい名前はいちいち覚えられへんですけど、抗コリン薬が過活動膀胱の治療によう使われるのはわかりました。

 

べんぴ先生

それがわかってくれたらいいんや。具体的に過活動膀胱で使われる抗コリン薬の種類について見ていこか。

 

 

べんぴ先生

黄色い2つの薬は少し古い薬で便秘に比較的なりやすい、緑の薬は比較的新しくて便秘に比較的なりにくいと思ってもらっていい。

新しい薬のほうが膀胱にだけなるべく効くように作られてきているんや。

 

ガンコちゃん

いつものように便秘になりやすい薬は可能な限りやめたり、他の薬に変更したりするのがいいんですよね?

 

べんぴ先生

その通りや。そこは薬を出してくれている先生と相談になる。もしも抗コリン薬をやめても過活動膀胱の症状が出ないのであれば、やめるのがベストや。

ただ、理想通りには行かへんことが多い。その時は薬剤をそのまま内服して、便秘治療薬を追加するんや。

 

ガンコちゃん

そうすると薬が単純に増えちゃいますけど、仕方ないですね。

 

べんぴ先生

必要な薬は飲むべきやで、ガンコちゃん!

今日はここまでにしよう。

 

ガンコちゃん

はーい。

 

 

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医