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グーフィスってどんな薬?
こんにちは。べんぴ先生です。
今日はグーフィスという薬について解説していきたいと思います。
お付き合いくださいね。
グーフィスと胆汁酸
グーフィスというお薬が2018年4月に発売されました。
新しい便秘薬です。
一応お伝えしておくとグーフィスというのは商品名で一般名はエロビキシバットと言います。
エロビキシバットは全く覚える必要は全くありませんが、バットマンみたいでなんか効きそうで僕は好きです。
あと何か口に出したくなりますよね。エロビキシバット。
どんなふうに効くか
小腸の最後のところで(回腸末端と呼びます)胆汁酸の再吸収をちょこっと邪魔します。

何のこっちゃねん。
何回かお伝えしているのですが胆汁酸というのは「生ける下剤」と呼ばれています。
胆汁酸=生ける下剤。これは重要やで!
体の中で作られる下剤ということですね。
簡単に言うと
胆汁酸が大腸に到達すると大腸の動きを刺激したり、粘液を分泌させてくれるんです。
便を出すためには大腸がしっかり動く必要がありますし、粘液がないとつるっと滑らないので出しにくいですよね。
ちなみに胆汁酸は大腸上皮に働きかけてセロトニンという物質を放出させるんですね。
セロトニンは大腸をどんどんどんどん動かす方向に作用するので大腸がしっかり動いてくれるようになるというわけです。
なので胆汁酸は便秘の神様みたいな存在です。
でも今まで胆汁酸はあまり脚光を浴びてきませんでした。
しかしこの薬のおかげで再認識されるようになったのです。
胆汁酸は大腸に到達すると下剤のような効果を発揮すると言いました。
しかし、回腸末端と呼ばれる最後の難関があって、そこまでで胆汁酸の95%は回収されてしまうのです。

なので大腸に到達する胆汁酸は5%くらいです。
大腸に到達できる胆汁酸は5%しかないで。
もっと大腸に流れてくれよ
がっかりされた方もおられると思います。
ただ、胆汁酸は体にとって大事な働きをしているので、回収されないとそれはそれでまずいんです。(栄養不良になったり、下痢になります。胆汁酸性下痢と言います。)
この胆汁酸の吸収を抑えて、大腸に流れ込む胆汁酸の量をちょこっと増やしてくれるのがこのグーフィスという薬なのです!!
なんか効きそうでしょ?
胆汁酸は本当に便秘にとっても欠かせない存在です。(みなさんあまりご存知ないとは思いますが)
胆汁酸は全5回に分けて解説していますので、以下の記事を参考にしてくださいね。
グーフィスは計画排便が可能!?
あとすごく重要なのは飲んでからだいたい5時間で効果が出ます。
短いですよね。
短いんですよ。
グーフィスは飲んでから5時間くらいで便が出ることが多いで
もっと大事なのが
よく学会とかで言われているのは、グーフィスによって
「計画排便」が可能になるのです!
グーフィスは計画排便を可能にする!?
計画分娩みたいですね。
なので自分の便の出したい時間を決めてそこから5時間引き算して飲めばいいんです。
ただ注意が一つあります。
食事の30分前に飲んでください。
食事が胃を通り過ぎて十二指腸に入った時に胆汁酸はぴゅっと出されるので、食後に飲んじゃうと薬が胆汁酸に追いつけないんです。
なので食後に飲むと効果が薄まります。
グーフィスは食事の30分前に飲むんやで。
あと普通は1日1回2錠飲むのですが、軽症の方には1錠にして重症の方には3錠にできます。
すべての便秘症患者さんをこの1つの薬で治療できる可能性があるんです!!
あくまで可能性です
便秘はそこまで甘い世界ではない・・・かもしれません。
ただ、値段の問題もあるのか、欧米でも便秘の第一選択薬はやっぱり浸透圧性下剤です。
浸透圧下剤はモビコールとかラグノスとか酸化マグネシウムでしたね。
グーフィスを使うときの注意点
副作用は下痢と腹痛です。
特に腹痛が出てしまう人は量を減らすか、合わなければ止めるのが良いです。
グーフィスの副作用は腹痛と下痢やで。特に腹痛には注意が必要やで。
ちなみに体内のコレステロールを減らしてくれるかもしれませんので、コレステロールが高いと悩まれている方には二重にお得かもしれません。
コレステロールの高い方には一挙両得かもしれへんで。
ただ、肝臓が悪い方や胆汁の出が悪い方はそもそも効果は出ません。
肝硬変とか膵臓癌で黄疸が出ているとかが考えられますかね。
妊婦さんへの使用はダメとは書いてないですが、まあ普通は使わないですかねえ
今までの便秘薬と全く違う観点から攻めているので個人的には好きな薬です。
腹痛だけちょっときになるくらいです。
また便秘治療薬の選択肢が一つ増えてよかったよかった。
ただ、最大の注意点があります。
それは・・・
薬の飲み合わせが悪い
ということです。
グーフィスは薬の飲み合わせが悪いんやで。
グーフィスを使う時は今患者さんがどんな薬を飲んでいるかをしっかりと把握する必要があるのですね。
この点はリンゼスと正反対ですね。
リンゼスはものすごく飲み合わせが良いので。
リンゼスについては以下の記事を参考にしてくださいね。
グーフィスを飲むときに気をつけるべき薬
①胆汁酸製剤
ウルソという薬などですね。
胆汁酸そのものですので、回腸末端で吸収が阻害されると肝臓に帰れなくなってしまいます。
つまりグーフィスと一緒に飲むと胆汁酸製剤の効果が薄れるんですね。
ウルソと一緒に飲むと、ウルソの効果が薄れるんやで。
②胆汁酸吸着剤
これはアルミニウム製剤とかコレスチラミドという薬があります。
つまりせっかくグーフィスで大腸に流れ込む胆汁酸を増やしても、これらの薬が吸着してしまうのであんまり意味がなくなるという話です。
グーフィスが頑張っても、アルミニウムやコレスチラミドを一緒に飲むと相殺されてしまうんやで。
③心臓・血管系の薬
プラザキサやジゴキシンという薬と一緒に使うと血中濃度が上がってしまってこれらの薬の作用が増強してしまうんですね。
正直これが一番怖いです。
僕としては心臓が悪い人にはグーフィスはあんまり使いたくないなあ
と思っています。
ジゴキシンという薬、つまりジギタリスですね。
ジギタリスは最近見かけることは少なくなってきましたが、プラザキサは増えていますので注意が必要ですね。
心臓が悪い人にグーフィスを使うときは細心の注意を払うんやで。
④ミダゾラム
グーフィスと一緒に使うとミダゾラムの効果が出にくくなってしまうんですね。
ミダゾラムってみなさん聞きなれない言葉かと思いますが、胃カメラや大腸カメラを行うときに眠って行った方はこの薬を使っている可能性が高いです。
鎮静剤の一つなんですね。
なのでグーフィスを飲んでいると、せっかく眠って胃カメラを受けようと思ったのに全然眠れなくて死にそうになるくらい辛い可能性があります。
ミダゾラムに関してはあんまり考えんでもええかもしれへんで
実際にどんな時にグーフィスを使うべきか?
これは難しいです。。
最近は便秘薬の新薬のラッシュが続いているので使い分けを考えなくてはいけません。
もちろん考えるのは医療者であって、患者さんではないんですけどね。
難しい問題です。
僕個人の意見としては・・・
刺激性下剤の一種として考えるのがいいんじゃないかな
と思います。
グーフィスは刺激性下剤の一種として考えてもええんとちゃうかな?
排便がどうしてもないときに数日間使うなどでも良いかもしれません。
この使い方が良いと考える理由は4つあります。
・計画排便ができる
・胆汁酸は刺激性がある
・飲み合わせがあまりよくない
・他にもたくさん下剤はある
この辺りは医者それぞれで考え方が変わってくると思うのですが、
みなさんどう考えますか?
センナや大黄などのアントラキノン系薬剤の危険性については以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。
PTPシートになっている
グーフィスはPTPシートに入っている製剤です。
PTPシートはあの硬くてとがってるシートです。
ご高齢の方はシートごと飲んでしまうことがあるので注意が必要です。
PTPシートを内視鏡で取り出すのってめちゃくちゃ怖いんですよね・・・
なのであんまりご高齢の方やお一人暮らしの認知症の方は飲まない方が良いのかもしれません。
実際に内視鏡写真をお見せしましょう。

これはPTPシートを間違って飲んでしまった写真です。
この写真は食道の写真で、PTPシートが食道で引っかかってしまっているんですね。
内視鏡を使用して取り除いた後の写真がこちらです。

なんとか破れてはいないようでした。
PTPシートには十分すぎるくらい注意が必要やで。
ちなみにPTPシートの件については以下のブログで取り上げていますので参考にしてくださいね。
グーフィスについてさらに詳しく知りたい方はグーフィスの添付文書をお読みください。
今日は以上になります。
今日もお疲れ様でした。