便秘・下痢

今日の患者さん〜パーキンソン病の便秘〜

 

 

 

こんばんは。

 

今日は外来日でした。

 

月曜日は外来の日、火曜日は救急当番の日というように、医者は曜日によって仕事内容が違うのです。

 

 

僕の場合は水曜日、木曜日が外来日と決まっています。

 

 

なので今日は外来日というわけです。

 

ちなみに連日外来をやっていると木曜日の夕方にはろれつが回らなくなってきます。

 

「らりるれろ」と「はひふへほ」が言えなくなってきて、れろれろふにゃふにゃとわけのわからないことを言っている時があります。

 

 

普段からもっと話とかないとなあ。

アナウンサーみたいに。

 

 

 

そういえば最近神経内科から紹介された患者さんがいて、非常に興味深い経過やったのでご紹介します。

 

 

もともと神経内科にかかりつけのパーキンソン病の患者さんなのですが、便秘とお腹の張りがひどくてコントロールが難しいということで、数ヶ月前に僕の所に紹介となりました。

 

 

確か神経内科では便秘のコントロールのために、酸化マグネシウムとセンノシドという2つの薬を処方されていたと思います。

 

どちらの薬も毎日飲むように言われていました。

 

 

ご存知の方も多いかと思いますが、センノシドという薬はそもそも毎日飲む薬ではありません。

 

刺激系下剤の1つで習慣性依存性がある強い薬です。

 

内服する時は頓服にして、3日くらい便がどうしても出ない時に飲みましょう。(基本は、です。)

 

あとは3日に1回浣腸をしてなんとか便が出るという感じでしたが、お腹のガスは全く取れず、痛くて痛くて悶える時があるとのことでした。

 

 

まずは手始めにセンノシドをやめて、頓服に変更しました。

 

 

お腹が張って痛いとのことやったので、リンゼスという薬を処方してみました。

 

 

ただ、全く痛みは取り除けずに2週間くらいで終了に。

 

 

その後もポリフルという薬を使ったり、漢方薬を使ったり、ガスコンを使ってみたりとせっせと薬の量を調節していましたが、数ヶ月経ってもうまくいかず。

 

うーむ。困った困った。

 

 

ふと、この方はもしかしたら腸の運動が悪すぎて、小腸の中の細菌が繁殖しまくっている、SIBOという病態なんじゃないかな

 

と思いました。

 

まずは腸をしっかり動かすことが先決や。

よし、ガスモチンを使ってみよう。

あとは大建中湯という漢方薬も使ってみよう。

 

 

そう考えました。

ただ、漢方薬はどうしても飲めないということで大建中湯はやめにすることに。

(漢方薬は粉薬が多いのでどうしても飲めない方は相当数いらっしゃいます。)

 

 

前回の外来でガスモチンと少量の緩下剤(便を柔らかくする薬)を処方し、他の今まで使っていた便秘薬は中止にしてみました。

 

 

すると、不思議なことにお腹の張りはほとんど取れたみたいです。

 

 

パーキンソン病のため腹筋がかなり弱っており、肛門の力もほとんどないためご自身で排便をすることは困難なので、今まで通り浣腸は定期的にやっていらっしゃるのですが、お腹の張りが取れて、とても楽になったとのことでした。

 

 

 

パーキンソン病の便秘のコントロールは難しいのですが、

ガスモチンの威力を思い知りました。

 

 

もちろん個人差があるのですべてのパーキンソン病の方に効くわけではありませんが、一つの選択肢にはなると思います。

 

 

ガスモチン

 

古い薬ですがいい仕事をしてくれます。

 

患者さんも感謝してくださったみたいで、よかったよかった。

 

でも、もちょっと納得いかないのであと一工夫してみます。

 

 

 

今日の患者さんでした。

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医