便秘・下痢

便秘を治すために他人の便を移植する??

 

今回は糞便微生物移植について簡単に説明したいと思います。

Fecal microbiota transplantationを略してFMTと呼ばれたりもします。

どんな治療か?

 

糞便、つまり他人のウンチを自分の腸に移植すると言うことです。

 

うそやん。

 

そんなん嫌や。

 

絶対嫌や〜。

 

 

ってなるかもしれませんが、多分近い将来実用化されます。

 

とゆうか便秘に対してはまだ実用化されていませんが、他の病気には実用化されています。

 

その病気とは偽膜性腸炎という病気です。

 

 

抗生剤を使うことで腸内細菌のバランスが崩れて、普段はおとなしいクロストリジウム・ディフィシル(最近クロストリジオイデス・ディフィシルに名前が変わったそうです。)という菌が増えてしまい、毒素を出して腸炎になるという病気です。

 

抗生剤怖いですね。

いやあ、みんなもっと考えて使うべきなんですけどね。。本当に。。。

 

日本では欧米ほどこの病気が猛威をふるっていないのでそこまで話題になりませんが、欧米では抗生剤が効かない偽膜性腸炎が多く、糞便移植を行うことになった、という経緯です。

 

糞便移植ってどんなことするん?

まさか口から・・・

 

ええ、そうです。口から食べる方法もあります。

 

って言っても便を凍らせてカプセルに包んで飲むんですけどね。

 

 

安心してください。

 

日本では、ほとんどの場合大腸カメラを使って盲腸に便をろ過した液をしゃーっと撒いてくるという方法です。

 

元気な人の便を移植すると偽膜性腸炎にはすごく効果があります。

 

ちなみに日本の一般病院ではやられていない治療で、大学とかで臨床研究として行ったりあとは普通の病院で自由診療でやられていることもあるそうです。

 

さすがに自由診療は怖い気がしますけど。

だって他人の便にわけのわからない有害な腸内細菌が入っている可能性も十分ありますからね。

 

まだちょっと怖い怖い。

 

 

今は慶應義塾大学とかですごく研究が盛んで、炎症性腸疾患(IBD)過敏性腸症候群(IBS)などに糞便移植が行われていますね。

 

そいでこの糞便移植が将来(いつになるかはわかりませんが)、便秘の人にも適応になる可能性があります。

 

Tianさんという外国人の人が2017年に論文を発表したのです!!

 

どんな論文か?

 

腸管通過時間遅延型慢性便秘症60人を半分ずつにランダムに分けて

糞便移植をやる人、やらない人それぞれで便秘が治ったかどうかを見たのです。

 

やり方は・・・

鼻からチューブを入れて、他人の糞便をろ過したものを6日間連続で流し込んだ・・・

 

げふっ

 

臭いがあああああっ!!

 

結果は糞便移植したグループの排便回数、腸管通過時間とか全部改善したようです。

 

 

頑張った甲斐があったようです。

よかったよかった。

 

ほんとに。

 

 

でもだからと言って、便秘の人にどんどん糞便移植をやっていきましょう!

とはなりません。

 

ここら辺が医療の難しいところですが、実用化するにはもっともっと研究を重ねていく必要があります。

 

いろんな副作用もあるはずですしね。

 

 

でも夢がある治療ですよね。

 

 

将来的にはどんな治療になるんやろうか

と考えた時に、

 

この糞便移植が実用化されて他人の便をカプセルにして食べるのか、

もしくは個人の腸内細菌を分析して

あなたにはこの細菌とこれとあれとそれと混ぜてカプセルにして飲みましょう

っていう究極のオーダーメイド腸内細菌カプセルのどっちかかなあって思います。

 

いやあ、楽しそうですね。

ワクワクしてきますね。

 

 

でも糞便移植よりは腸内細菌カプセルの方がいいなあ。

なんとなく。

 

そう考えると整腸剤とか乳酸菌のサプリメントはいい線いってると思うんですけどねえ。

 

 

 

あと、糞便移植って言ってますけど、正確には移植という言葉が正しいかどうかはわかりません。

もし移植っていうなら、移植した腸内細菌がずっとそこに住み続けている必要があります。

でも、他人の便に混ざっていた腸内細菌はほとんど便になって出てしまうみたいです。

つまり自分の腸にはじめから居た細菌たちがもりもり元気になって本来の元気な姿を取り戻した

って考えるのが妥当なようです。

 

乳酸菌サプリメントなんかも

生きた菌がそのまま届く

って宣伝しているものが多いですが、そもそも摂取した菌はほとんど定着しないので、自分の腸内細菌をなんらかの形で元気にしてくれるって考えたほうが良いと思います。

 

 

便秘はまだまだわかっていないことが多い、と言うかほとんどなので

これからが楽しみですね。

 

今日は以上です。

ではでは〜

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医