皆さんこんにちは。べんぴ先生です。
今日はアミティーザという便秘薬について少し解説したいと思います。
僕はよく使いますが、多少の使いづらさがあります。
ただ、うまく軌道に乗せることができれば、効果を発揮できる薬かなと思っています。
お付き合いください。
アミティーザってどんな薬?
どんな薬か?
上皮機能変容薬(じょうひきのうへんようやく)という分類に入る薬です。
このネーミング何とかならんものかと思います。
もっと他に名前の付け方あったんとちゃうんかなあ
上皮とは小腸上皮のこと
小腸上皮の機能を変えてしまう薬という感じですかね。
英語ではクロライドチャネルアクチベーターと呼ばれていて
cl- つまり塩化物イオンをどんどん腸の中に送り込むことでナトリウムイオンがついていって、そこに水が引き込まれる。
腸の中に水分が増えるので便も柔らかくなるってゆうことです。
要するに
小腸にはたらきかけて便をやわらかくする薬
です。
これでいいです。
アミティーザは小腸に働きかけて便をやわこうする薬やで。
アミティーザは小腸を守ってくれる??
アミティーザは今までの酸化マグネシウムなどの便秘薬と違って、ただ便を柔らかくするだけじゃないんです。
まず腸液を分泌させる作用があります。
なんとなく便が円滑に作れそうですねえ。
他には
小腸の動きをよくしてくれます。
もひとつ。こっちが大事。
リーキーガット症候群の治療薬になる可能性があります。
・便を柔らかくする
・腸液を分泌させる
・小腸の動きをよくしてくれる
・リーキーガット症候群の治療になる可能性あり
リーキーガット症候群って何?
なんですかリーキーガットって?
リーキーガット症候群は最近わかり始めた病態です。
今まで小腸は検査する手段がなかったのでブラックボックスみたいな存在でしたが、ようやく小腸の研究が本格的に始まったのです。
ちなみにリーキーガット症候群は腸の病気だけじゃなくて、食べ物のアレルギーとか糖尿病とか脂肪肝とか色んな病気と関係があるんじゃないかと言われています。
このリーキーガット症候群に対する治療薬は今のところ発見されていないのですが、アミティーザはこの治療薬第1号の可能性が示唆されているんです。
これはでかい。
アミティーザがリーキーガットの治療薬になりうるという事を示した論文が2017年に日本から出てます。
とっても有意義な論文ですが、個人的にはまだ決めつけるのには早いかな、という印象です。
詳しく説明するのはやめておきますが、この論文はもともとリーキーガット症候群の患者さんに対してアミティーザを使ったんじゃなくて、健康な人にジクロフェナックという薬(痛み止めのロキソニンと同じようなものです。)を使って無理やり小腸を傷つけて、その後アミティーザを飲んでもらっています。
他にも議論の余地はありますが、でもリーキーガットの治療薬になれる素質はもっていて、期待たっぷりですね。
アミティーザは便を柔らかくしてくれる、しかも小腸に優しい薬やで
先ほどの論文でジクロフェナックという薬で小腸粘膜を傷つけましたよね?
ということは・・・
そうです。ロキソニンやボルタレンなどの薬(NSAIDs:エヌセイズと呼びます)はそもそも腸に悪いということです。
胃に対しても悪い効果を発揮するので、ロキソニンが原因となった胃潰瘍を今までに何度見たかわからないくらいです。
アミティーザはどんな時に使うべき?
じゃあ具体的にどんな患者さんに使ったら効果的か?
腎臓や肝臓がそこまで悪くない男性、40歳くらいより上の女性
こんな感じです。
腎臓や肝臓は多少悪くても大丈夫です。
なので少しマグネシウムよりは使いやすいかなあ。
(マグネシウムには高マグネシウム血症という副作用がありましたね。詳しくは便秘には酸化マグネシウム?を見てくださいね。)
ただ難点があります。
とにかく若い女性には使いにくい!!
まず妊娠の可能性がある方には使えません。
禁忌です。
そして若い女性にアミティーザを使うとけっこう吐き気が出てしまいます。
吐き気って最も辛い薬の副作用の一つなんですよね。
一度吐き気が出てしまうと患者さんはほぼほぼ続けたくなくなってしまいます。
なので若い女性に処方することはほとんどありませんね。
若い女性はアミティーザを飲まん方がええよ。40歳以上を若くないと言ってるわけではないで。(怒らないで)
最近は
グーフィスとか
ラグノスとか
モビコールとか
便秘に対して使える薬がたくさんでてきているので、
この薬しかないんやあ!
という感じで粘らなくていいんです。
いや〜いい時代ですね。
アミティーザを使うための裏技
ちなみに吐き気の副作用を減らしてアミティーザを使う裏技があります。
ガナトンという胃薬を毎食前にあらかじめ飲むのです。
これは2週間だけでいいです。
なぜならアミティーザで吐き気が起こってしまうのは、飲み始めの2週間くらいがほとんどだからです。
なので始めだけ予防しておきましょ
っていう話です。
なんでガナトンが吐き気予防になるかというと
アミティーザが胃の中に留まる時間が長いと吐き気がでやすい可能性があるので、ガナトンという胃をどんどん動かす薬をあらかじめ使ってアミティーザを早く小腸に流してしまいましょ
という理由です。
・男性にはアミティーザを使って良い
・30歳代くらいまでの女性にはアミティーザは使わない
・40歳以上の女性にはガナトンをはじめっからアミティーザと一緒に使う
リーキーガットに対する治療効果がこれからもっと分かってこれば、もっともっと使用量は増えると思います。
リーキーガットに対する効果がもっとはっきりすれば、間違いなくシェアは増えるやろね。
今は本当に便秘薬が増えてきているので、便秘で悩んでいる方はいろんな薬を試してみればいいと思います。
ただ、マグネシウムよりは値がちと張るのでそこをどう捉えるかですかね。
マグネシウムは3割負担で月に150円とかそれくらいですが、アミティーザは2000円くらいです。ほかの新薬も同じくらいですかねえ。
結局のところ便秘の新薬はまだ使い分けがそこまで定まっていないので、
自分に合うものを探す
これが一番です。
今日もお疲れ様でした。