便秘・下痢

便秘薬をちゃんと分類してみよか!

便秘薬をちゃんと分類してみよか!

こんにちは。

 

最近ブログをせっせと書いているので、薬に関するものも充実してきた気がします。

 

少し混沌としてきたので、一覧にしてみたいと思います!

いつものごとく、慢性便秘症診療ガイドライン2017を参考にしながら、ちょこっと自分流にしてみたいと思います。

 

若干便秘の適応から外れる薬もありますが、日常診療では便秘に対して使っているものは「便秘薬」として扱いますね。

 

ガンコちゃん

今までいろんな薬について勉強してきましたもんね。あんまり覚えてないですけど。笑

 

べんぴ先生

そやな〜。でもぜ〜んぶ覚える必要はないで。病院で薬を出されたら、自分がどんな薬を飲んでるのかを確認してもらえればいい。

 

ガンコちゃん

たしかに自分が飲んでる薬くらい、どんなものか知っておきたいですよねえ。

 

べんぴ先生

たまに「こんな薬あるみたいですけど、私にも飲めますか?」って聞いてくれる勉強家の患者さんもいらっしゃる。それくらいになれると頼もしい限りやね。

便秘LABOの目標は患者さんが自ら学んで便秘を克服することやんね

ちなみに、市販薬についてはここでは取り扱いません。

さすがに数が多くなってしまうので。

 

あと、市販薬は成分表をみればだいたいどんなものを使っているのかわかります。

マグネシウムとかセンナとかが多いですよ〜

 

市販薬については以下の記事でまとめているので参考にしてくださいね。

ガンコちゃん

市販薬は手を替え品を替えやってるけど、手数が少ないんでしたよね〜

べんぴ先生

ガンコちゃんは大事なことはしっかり覚えてるね。具体的な薬の名前を覚えるより、そういう本質的なところを押さえてくれたらOKやで。

 

それではお付き合いください。

 

便秘薬の分類

それでは便秘薬を分類してきたいと思います。

①便を柔らかくする薬

 

まずは便を柔らかくする薬から。

現在シェアNo.1は酸化マグネシウム製剤です。

基本的にはとっても飲みやすい薬で容量調節も簡単。シェアNo.1というのもわかります。

腎臓が悪い人や高齢の方には高マグネシウム血症という副作用がありますが、基本的にはとっても安全な薬で、今後もこの牙城が簡単に崩れることはなさそうです。

 

酸化マグネシウムに取って代わろうとしているのが

モビコールラグノスです。

 

どちらもとても良い薬ですが、値段の面では酸化マグネシウムには到底勝てません。

 

酸化マグネシウムはとっても安いんですねえ。

 

 

アメリカではモビコールがNo.1なんやで。

 

②クロライドチャネルアクチベーター

 

これもまたとっつきにくい名前ですが、新しいタイプの便を柔らかくしてくれる便秘薬です。

アミティーザリンゼスの2つがあります。

アミティーザは小腸にも優しい効果があると言われている、今までの便秘薬の常識を覆す薬です。でも若い女性に使いづらいという難点があります。

 

リンゼスはとっても使い勝手の良い薬です。

もう少しシェアが増えてきてもいいかなあ、という薬。僕は重宝しています。

べんぴ先生

個人的にはリンゼス好きなんやけどなあ。下痢の副作用がなあ。

ガンコちゃん

それいっつも言ってますねえ。

③膨張性下剤

 

水分を保水、吸水してくれる薬です。

水分量を自由自在に調整してくれる薬でしたね。

少し飲み合わせなど難しい点もありますが、それさえ気をつければとっても良い薬です。

 

基本的には過敏性腸症候群(IBS)に使われる薬ですが、便秘症や便失禁(漏らしてしまう)にも使われることが多いです。

あとは古い薬でしたがバルコーゼという薬もありましたね?

④腸を動かしてくれる薬

 

腸の動きを良くしてくれる薬ですね。

これは結構重宝しますよ。

特に全身の病気のせいで腸の動きが悪くなっている場合にはマストアイテムです。

昔からある比較的安全な薬が多いのが特徴です。

大建中湯・ガスモチン・セレキノンなどがあります。

 

 

 

新しい薬=良い薬というわけではないから、薬は面白いねん。

⑤胆汁酸を介した新しい便秘薬

 

胆汁酸というのは便秘とものすごく密接な関係があるのでしたね。

便秘を知ろうとすれば、胆汁酸の勉強は必修科目です。

胆汁酸について詳しく知りたい方はこちらを参考にしてくださいね。

 

グーフィスという新薬は現時点では(2018年12月時点)2週間処方しかできませんが、来年には3ヶ月処方が可能になる予定です。

べんぴ先生

グーフィスは刺激性下剤の要素が強いんやったね。

ガンコちゃん

・・・覚えてないですわ。

べんぴ先生

・・・

⑥刺激性下剤

 

刺激性下剤にはいろいろあります。

センナ、センノシド、ピコスルファートナトリウム、ビサコジル、大黄甘草湯、麻子仁丸などです。

市販の薬や

どっさり・・・

もりもり・・・

みたいな薬には刺激性下剤が含まれていることが多いんじゃないでしょうか?

毎日服用することはお勧めできません。

どうしても出ない時に週に1回〜2回飲む分には僕は良いと考えています

絶対に飲んではいけない薬ではないで。何でも使い方次第やで。

 

⑦座薬・浣腸

 

どうしても出ない時には座薬や浣腸を使うことをお勧めします。

レシカルボン座薬・ビサコジル座薬・グリセリン浣腸などがあります。

レシカルボン座薬は大腸の中で炭酸ガスを発生させて排便を刺激するんですね。

 

ただ、腹痛や吐き気、膨満感などの症状が強い時は座薬や浣腸を使うと大腸が破れてしまったり、閉塞性腸炎という恐ろしい病気を引き起こしてしまうことがあるので注意が必要です。

 

座薬や浣腸については以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。

以上、現在病院で使われている便秘薬についてまとめてみました。

いかがでしたか?

最近は作用機序の違う便秘薬がたくさん出ていて、どれを使うか迷うくらいになってきました。

いや〜いい時代になってきました。

 

 

刺激性の強い市販薬や怪しいお薬に頼る前に、

一度病院に受診して相談してみてくださいね。

ガンコちゃん

本当にたくさんの種類の便秘薬がありますねえ。

べんぴ先生

僕が医者になった頃はそれこそ酸化マグネシウムと刺激性下剤だけやったよ。

ガンコちゃん

良き時代ですね〜

便秘を引き起こしてしまう薬

べんぴ先生

逆に便秘を引き起こしてしまう薬についても簡単に紹介しておくよ。

ガンコちゃん

こっちはブログを立ち上げて初期の頃によく勉強しましたよねえ。

べんぴ先生

こっちもものすごく大事や。

 

治療も大事やけど、原因を取り除くことの方が大事やで。

抗コリン薬

 

抗コリン薬は聞きなれない言葉ですが、本当にいろんな薬に含まれているので注意が必要です。

それこそ風邪薬にも含まれているので、

「風邪薬を飲んでから1週間便秘になってしまった」

なんてこともよく経験しますよ。

 

風邪薬ってほんまに必要?よ〜く考えよう。

精神科の薬  

 

そもそも精神科にかかっている患者さんは運動量が少ないなどの理由で便秘になりやすいのでした。

その上、精神科の薬の薬も抗コリン作用のある薬が多いので、さらに便秘を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。

可能であれば、できるだけ便秘になりにくい薬剤を選ぶことが大事なんですね。

 

薬を変更するときは主治医とよ〜く相談してね。

パーキンソン病の薬

 

パーキンソン病は、手足が動きにくい、震えるなどの神経症状を発症するよりももっと前から便秘を発症することが多いと言われています。

しかも便秘がひどいと神経症状も悪化してしまうことが多いので、便秘のコントロールがものすごく重要です。

 

しかし、パーキンソン病の患者さんの便通コントロールはかなーり難しいのです。

血管系のお薬

 

普段よく使われている心臓や血管に効果を発揮する薬も、便秘の原因になることがあります。

便秘がひどいと、トイレで息むことで心筋梗塞のリスクなどが上がるので

便通コントロールが非常に大事です。

 

 

麻薬

 

麻薬を使う患者さんは非常に限られていますが、一応取り上げておきました。

何の便秘対策もせずに麻薬を使うと、確実に便秘になるので

本腰を入れて便秘対策を行うことがとっても重要です。

 

化学療法の薬

 

抗がん剤とも呼びます。

ほとんどの抗がん剤は消化管に副作用を起こし、便秘になったり下痢になったりします。

その中でもとりわけ便秘になりやすい薬があるので注意が必要です。

 

 

泌尿器科の薬

 

何と泌尿器科の薬まで便秘になるものがあるんですねえ。

本当に便秘は全身の病気やたくさんの薬と関連があるんですよね。

こちらもチェックしてみてください。

 

その他の薬

 

上で取り上げた意外にも、いろんな薬が便秘を引き起こすんです。

便秘を理解するには、たくさんの知識が必要不可欠なのです。

 

 

以上

便秘を引き起こしてしまう薬についてもリストアップしました。

興味のあるものは見てみてくださいね。

 

今回の記事は索引みたいなものです。

困ったらここに帰ってきてくださいね。

 

今日もお疲れ様でした。

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医