便秘・下痢

刺激性下剤のラキソベロンは癖にならない?

刺激性下剤のラキソベロンは癖にならない?

 

こんにちは。

今日は刺激性下剤のラキソベロンについて解説していきたいと思います。

お付き合いくださいね。

ラキソベロンってどんな薬?

 

ラキソベロンは刺激性下剤の一つです。

 

ラキソベロンと同じ効果を持つ薬にはシンラックコスルファートナトリウムという薬があります。

 

刺激性下剤と聞くと何を思い浮かべますか?

 

例えばセンナ、センノシド、大黄甘草湯、麻子仁丸などを今まで当ブログでは扱ってきましたね。

 

実は刺激性下剤は大きく2つに分かれます。

 

一つはセンナや大黄、アロエなどのアントラキノン系

もう一つはラキソベロンやビサコジルなどのジフェニール系です。

 

刺激性下剤

・アントラキノン系

・ジフェニール系

 

ラキソベロン、シンラック、ピコスルファートナトリウムは全部同じ薬ですので、今日はラキソベロンと言えば、これら全部を指すと考えてくださいね。

 

ラキソベロンは胃や小腸では消化されずに大腸まで届きます。

➡︎大腸の中の腸内細菌によってジフェニール体になる。

➡︎大腸の蠕動運動が活発になる+腸の水分吸収が抑制されて便の中の水分が増える。

➡︎便が出やすくなる。

 

という仕組みで効果を発揮します。

大腸を刺激するので刺激性下剤の一つなんですね。

 

効果はアントラキノン系よりも少しマイルドと言われています。

 

ちなみに海外ではアントラキノン系よりもジフェニール系の方がよく使われるようですよ。

ラキソベロンで大腸偽メラノーシスになるのか?

 

べんぴ先生

大腸偽メラノーシスって何かわかるか?ガンコちゃん。

ガンコちゃん

これは覚えてますよ。大腸が黒っぽくなってしまうやつですよね?

 

べんぴ先生

その通りや。まあ黒っぽくなったら悪いかと言われれば、今の時点では良いことなのか、悪いことなのかはわからないんやけどね。臨床的な意味は不明や。

 

大腸偽メラノーシスについては以下の記事を参考にしてくださいね。

 

結論から言うとラキソベロンでは大腸偽メラノーシスにはならない

と言われています。

 

大腸の色が変わる心配はなさそうです。

ラキソベロンは癖になる?

 

アントラキノン系でもジフェニール系でも、刺激性下剤は薬剤耐性があって徐々に効きにくくなっていく。なので、どんどん必要な薬剤量が増えていってしまう。

 

これはよく言われていることです。

 

ただ、実は明確な根拠はなさそうです。

 

薬剤耐性についてはあんまりよくわかっていないんですね。

 

現時点での方針としては

刺激性下剤は常習性・習慣性・薬剤耐性があるので、なるべく必要最低限しか使わない。

つまり頓服・頓用で使う、ということです。

 

アメリカの消化器病学会も日本の消化器病学会も頓服・頓用で使うことを勧めていて、常用するのはやめた方が良い、ということになっています。

 

便秘診療ガイドラインでもそのように書いてあります。

 

ガンコちゃん

敢えて冒険する必要はないですよね?

 

べんぴ先生

エビデンス(科学的根拠)レベルは低いことが「じゃあ使っても良いですよ」ということには繋がらないんや。

 

ガンコちゃん

・・・頓服にしましょ。

 

ラキソベロンの副作用は?

 

薬にはなんでも副作用というものがあります。

ラキソベロンの場合は腹痛が有名ですかね。

 

あとは高齢者にたくさん使ってしまうと便失禁(便を漏らす)を引き起こすことがあるので、使いすぎには注意が必要です。

 

他には、刺激性下剤は虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)という病気を引き起こしてしまうことがあります。

 

虚血性腸炎というのは、大腸の血流が一時的に悪くなってしまい、腸炎になってしまう病気です。

典型的には

お腹に激痛が走って

なんどもなんども下痢が出て

途中から血便に変わる

という症状が出ます。

 

おそらくかなりの激痛なのと血便が出るのとで、皆さんびっくりされて病院に受診されることが多い病気です。

 

ほとんどは放っておけば治ります。

ラキソベロンは妊娠中・授乳中に使える?

 

結論から言うと、まず大丈夫だと思います。

 

刺激性下剤ではありますが、比較的マイルドで、妊婦さんや授乳婦さんにも優しい薬なんですね。

 

妊婦さんや授乳婦さんにも使える便秘薬は以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。

 

 

まとめ

今日は刺激性下剤の中でもジフェニール系に分類されるラキソベロンについて解説しました。

 

ラキソベロンが癖になるかどうかは現時点ではなんとも言えませんが、頓服で使用した方が良さそうです。

 

実際に刺激性下剤を使っている患者さんを見ていると

徐々に効きが悪くなってどんどん薬の量が増えていく印象があります。

 

使いすぎには注意しましょうね。

 

ちなみに頓服にしてしまうと便秘がひどくて耐えられない

という方は、毎日内服する便秘薬が必要ですよね?

 

どんな便秘薬がいいかわからない、という方は以下の記事を参考にしてみてくださいね。

何かいい薬が見つかるかもしれません。

(市販の薬は扱っていません)

 

 

言い忘れましたが、頓服で使用するのであれば寝る前がいいと思います。

 

 

だいたいラキソベロンは内服してから効果が出るまで7〜12時間かかると言われています。

 

この点に関しては個人差もあると思いますので、ご自身で感覚をつかんで頂くしかないかなあ、と思います。

 

なので、排便したい時間から逆算して内服して頂くのが良いですね。

 

ちなみにアントラキノン系のセンナやセンノシドは内服してから効果が出るまでに6〜8時間かかると言われていますので、それよりは少し長めですね。

 

あとはラキソベロンには液体、錠剤などの製剤がありますが、個人的には液体で内服することをお勧めします。

 

水にとかして飲むのですが、1滴ごとに微調整ができるのでお勧めです。

 

今回は10滴でダメだったから、次回は13滴にしてみよう

みたいな感じです。

 

水に溶かして飲んでくださいね。

 

あと目薬と間違えないように。

 

 

ガンコちゃん

笑えない。

 

べんぴ先生

・・・

 

今日は以上です。

 

 

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ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医