便秘・下痢

麻子仁丸は便秘に対して使ってもいい?

麻子仁丸は便秘に対して使ってもいい?

こんにちは。

べんぴ先生です。

 

今日は漢方薬の麻子仁丸について解説したいと思います。

お付き合いくださいね。

そもそも漢方薬ってどうなの?

そもそもなんですが、僕はほとんど便秘に対して漢方薬は使いません。

これは以前にもお伝えしたと思うのですが、僕は大建中湯(だいけんちゅうとう)という漢方薬以外は便秘に対して使うことはほとんどありません。

逆に漢方薬の中でなぜ大建中湯だけを使うのかについては以下の記事でまとめてありますので参考にしてくださいね。

 

漢方薬を便秘に対して使わない理由は3つあります。

漢方薬をあまり使わない理由

・科学的根拠の乏しいものが多い。

・刺激系下剤であるダイオウを含んでいるものが多い。

・カンゾウを含んでいるものが多い。

 

大建中湯はこの全てをクリアしているんですね。

つまり科学的根拠がある程度あって、大黄を含んでいないし、甘草も含んでいない。

 

だから使いやすいんです。

 

逆に言うと便秘に対して使われる漢方薬はほぼ全てこのどれかを満たしているんです。

 

先ほどの記事に大黄や甘草の怖い作用についてもまとめてありますので、ご確認ください。

 

ガンコちゃん

そんなに言うなら漢方薬の記事なんてどうしてまた書くんですか?

べんぴ先生

痛いところをついてくるね。最近麻子仁丸も使い方次第では良い薬になるんじゃないか?と思ったからこの記事を書こうと思ったんや。

ガンコちゃん

麻子仁丸・・・??

べんぴ先生

ましにんがんと読むんや。

 

麻子仁丸ってどんな漢方薬??

説明していきましょ。

 

漢方というのは基本的に生薬の組み合わせです。

 

つまり麻子仁丸も色んな生薬を組み合わせたものなんですね。

麻子仁丸に含まれる生薬

・麻子仁(マシニン)

・芍薬(シャクヤク)

・枳実(キジツ)

・厚朴(コウボク)

・大黄(ダイオウ)

・杏仁(キョウニン)

 

ざっとこんな生薬が含まれているんですね。

 

それでは麻子仁丸の良いところと悪いところを説明していきましょ。

麻子仁丸の長所

 

麻子仁丸の良いところは2つあります。

麻子仁丸の長所

①麻子仁をたくさん含んでいる

②甘草を含まない

 

まずは麻子仁を多く含んでいること。

麻子仁には脂肪油・精油と呼ばれる油がたくさん含まれるんですね。

これによって便が柔らかくなり、つるっと滑って移動しやすくなるという効果があります。

 

これは大きいですよ。

油成分というのは便秘解消にとっても役立ってくれるんです。

 

次に甘草を含まないこと。

これも大きいですよ。

 

先ほどの記事でもお伝えしているのですが、甘草を多く含む漢方薬を飲み続けると偽性アルドステロン症と言う病気になる可能性があります。

 

この病気になると血液中のカリウムが減ってしまい、体の筋肉がうまく動かなくなり、最悪心臓の筋肉も動きにくくなるため不整脈で死亡するリスクがあるんです。

 

ガンコちゃん

怖すぎはしやせんか・・・

べんぴ先生

まさに。

 

甘草は色んな漢方薬に含まれるので本当に注意が必要な生薬の一つなんですね。

 

この点では麻子仁丸は評価できる薬なんですね。

麻子仁丸の短所

 

これは一言で言えます。

麻子仁丸は大黄をたくさん含んでいる

これなんですよね。麻子仁丸を強く勧められない理由は。

 

どのくらい大黄を含んでいるかというと、大黄甘草湯と同じくらい含んでいます。

 

名前に大黄が入っている大黄甘草湯と同じくらい大黄を含んでいるって少し面白くないですか?

ガンコちゃん

いや、別に・・・

べんぴ先生

そうかい。

 

大黄の主成分はセンノシドなんですよ。

これがまずい。

 

センノシドは刺激性下剤なので、飲むとしても頓服にしてくださいという話は以前にさせていただいたと思います。

 

本当に刺激性下剤を毎日飲むのだけは避けて欲しいんですね。

 

これが僕がブログをぽちぽちぽちぽちやっている理由の一つでもあるんです。

これを広めたいんですよね。

 

この点で考えると麻子仁丸も最低です。

 

麻子仁丸は一体どんな時に飲めばいいの?

 

今までの話を聞いていたら、もうお分かりかと思います。

 

いかがですか?

 

そうです。

頓服で飲むならええんちゃうの?と言う話です。

 

頓服というのはどうしても出ない時だけちょこっと飲むという飲み方です。

 

使い方によっては刺激性下剤もとても良い働きをしてくれるんですね。

 

ちなみに僕は刺激性下剤を使うときはラキソベロンという薬をよく処方します。

アントラキノン系ではないので大腸の粘膜を黒くしないんですね。

 

ただ、麻子仁丸も悪くないと思います。

あくまでも頓服で使用するなら。

 

先ほど述べたように麻子仁丸は大黄だけでなく、油成分も多量に含むので便秘を解消しやすいんですね。

 

なので、麻子仁丸も実は頓服で使う分には良い薬と言えるわけです。

 

あくまでも頓服でお願いしますね。

 

まとめ

 

今日は麻子仁丸について解説させていただきました。

僕は漢方薬は便秘診療に限らずあまり処方しないのですが、なんでもかんでも絶対ダメと決めつけるのは好きではありません。

決めつけずに勉強してみたら意外と別の世界が見えてくることも多いんですね。

 

もしも漢方薬を便秘に対して使用するのであれば

大建中湯と麻子仁丸(頓服)くらいにしておいてくださいね。

 

今日は以上です。

お疲れ様でした。

 

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ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医