お腹の病気

大腸癌で腸閉塞になった。治療は?余命は?

大腸癌で腸閉塞になった。治療は?余命は?

こんにちは。

べんぴ先生です。

今日も大腸癌シリーズの続きです。

ガンコちゃん

大腸癌シリーズ長いですねえ。

べんぴ先生

その理由を述べよう。

大腸癌についてのブログを書く理由

①今現在、大腸癌で困っている人の助けになりたい

②みんなに検診を受けて頂きたい

 

①は当然ですね。

正直ブログを続けていくのにはエネルギーが必要なので、モチベーションがないと続けられません。

 

②もわかりますよね?

正直この仕事をしていると

 

どうしようもないことって世の中にたくさんあるんやな

 

と実感します。

 

しかし、頑張れば防ぐことができる病気で苦しんで死んでいく姿を見るのは本当に辛いんです。

大腸癌は頑張れば防ぐ、あるいは早期発見すれば治癒できる数少ない癌の一つなんですね。

このブログを見てくれた人が、一人でも多く検診を受けてくれたら本望です。

 

前置きが長くなってしまいましたね。

 

今日は大腸癌による腸閉塞について解説していきたいと思います。

お付き合いくださいね。

腸閉塞?イレウス?

大前提として言わせてください。

よく大腸癌イレウスという言葉がありますが、正確には間違えています。

イレウスというのは特に閉塞機転がないのに腸閉塞のようになってしまう病気です。

逆に腸閉塞という時は、物理的に閉塞させている何かがあるんですね。

 

大腸癌イレウス?

 

本来は大腸癌による腸閉塞が正しいと思います。

ガンコちゃん

どっちでもええがな。

べんぴ先生

すみません。

大腸癌のせいでどうして腸閉塞になるの?

ガンコちゃん

ん?何度か説明していないですか?

べんぴ先生

復習や、復習。

人間の消化管というのは一本道なんですね。

嫌な言い方をすれば逃げ道がないんですよ。

つまり、どこか一箇所が詰まってしまうと食べ物の行き場がなくなってしまうんです。

ガンコちゃん

すると嘔吐してしまう、ということですよね?

べんぴ先生

その通り。

これが大腸癌が詰まると腸閉塞になってしまう理由です。

消化管の病気は膵臓の病気や肝臓の病気と比べるとイメージしやすいんですね。

大腸癌で腸閉塞になった実際の写真を見てみましょう

実際の写真を見るとイメージしやすいので、一緒に見てみましょう。

この写真は腸閉塞になりかかっていた方の写真ですね。

まだ腸閉塞には至っていませんが、もういつ詰まってもおかしくないですね。

次の写真はいかがでしょうか?

ガンコちゃん

これって使い回しじゃ・・・

べんぴ先生

こらこら

この写真はもう内腔が見えないですね。

この患者さんは腸閉塞による嘔吐、腹痛のため救急搬送されたんですね。

 

CT写真を見てみましょうか。

実はこれガスでパンパンになっているんです。

黒いのはガスなんですね。(腹側の写真なのでガスがたくさん見えます。ガスは軽いですからね。)

原因は丸で囲ったやつですね。

これが癌です。

ガンコちゃん

CTで見るとこんな感じなんですね。

べんぴ先生

ちょっとわかりにくいやろ?内視鏡写真の方がわかりやすいから、患者さんには主に内視鏡写真をお見せすることが多いかな。

 

少しイメージは湧きましたでしょうか?

腸閉塞になったら余命はどのくらい?

これはよくご質問があるので結論から述べましょう。

腸閉塞になったからといって必ずしも余命が短いわけではない

腸閉塞になってしまったらもう寿命は残りわずかだ、という意見はよくお聞きします。

しかし腸閉塞になっても遠隔転移がない方もいらっしゃいますし、手術で大腸癌を切除して平和に暮らしていらっしゃる患者さんもおられます。

ポジティブに捉えると、「症状が出てくれたおかげで通常よりも早く発見できた」とも言えます。

どちらかというと余命を決めるのは

腸閉塞になったかどうかではなくて、遠隔転移、リンパ節転移があるかどうか

だと思います。

その辺りを主治医としっかりと話し合う必要がありますね。

どうやって治療するの?

大腸癌によって腸閉塞になってしまったらどんな治療があるのでしょうか?

大きく分けると3パターンあります。

大腸癌による腸閉塞の治療

1手術

2ステント治療

3点滴

一つ一つ見ていきましょう。

手術

そりゃもう手術できるなら手術がいいですよね。

しっかりと取りきるのが良いに決まっています。

特に遠隔転移がなくて治癒切除が望める方には手術が最高の選択肢になります。

 

ところで手術には2種類あるのをご存知ですか?

癌の手術

1根治手術

2姑息的手術

根治手術というのはしっかりと大腸癌ごと取りきって治療するという意味ですね。

根治させるために行う手術です。

逆に姑息的手術(こそくてき)というのは根治を狙わずにあくまでも症状を緩和するために行うということです。

例えば大腸癌の場合であれば、大腸癌はすでに周囲に浸潤していて全部取り除くことは難しい、だけれでも腸閉塞になっている。

この場合は人工肛門と言って、皮膚から大腸を出してあげるんですね。

要するに肛門とは別の腸管の出口を人工的に作ってあげる、ということです。

これも立派な緩和医療の一つなんですね。

ステント治療

大腸癌の場合は金属でできたステントを入れ込みます。

金属でできた筒で通り道を作ってあげるんですね。

実際の内視鏡写真を見てみましょう。

少し暗いですか?

金属のあみあみが見えるかと思います。

ステントが自然に外へ外へ広がる仕組みになっているんですね。

最近では手術できる症例でも、腸閉塞の方にはまずステント治療を行うことが多くなっている印象です。

 

ステント治療を行わずに、大腸癌による腸閉塞に対して手術を行う場合どうなるか?

おそらく緊急手術が行われます。

緊急の場合は腸の中身がパンパンに詰まっているので、腫瘍を切って安全につなぐことが難しいんですね。

結論から言うと2回手術を行うことが必要になってくるんですね。

1回目は人工肛門を作って癌は取らない。2回目の手術までの間に腸のパンパンが取れている。

2回目に手術で癌を取りきる。

 

こういう手順が必要なことが多いんです。

 

しかしステント治療を行うことで手術が1回ですむんですね。

これはメリットですよね。

 

ただ、ステント治療にも合併症というものがあります。

多いのは穿孔、閉塞、出血、逸脱です。

 

この中で最も辛いのは穿孔ですね。

つまり大腸が破れてしまします。

 

ステントの処置のせいで1日以内に状態が悪化してしまうことがあります。

先ほども写真をお見せしたのですが、内腔がどこにあるかわからないくらいになってしまうとガイドワイヤーと呼ばれる細いラインがよくわからない、大腸の内腔とは別の空間に入り込んでしまうことがあります。その状態でステントを広げてしまうと穿孔してしまうんですね。

もちろん僕らは細心の注意を払ってしっかりと腸の中に入っていることを確認して行うので頻繁には起こりませんが、やはり穿孔のリスクはあります。

 

逆に頻度が高いのは

あとあと穿孔してしまうことですね。

ステントは先ほどお伝えしたように自分で外へ外へ広がる力を持っています。

ものにもよると思いますが、だいたい72時間くらいで開ききると言われています。

 

もともと大腸がんがある脆い組織を広げるので、当然破れるリスクというのがあるんですね。

破れたら緊急手術が必要になることが多いですね。

大腸の中には腸内細菌がたくさんいて、それがお腹の中に漏れ出るんです。

便があれば当然便もお腹の中に飛び出します。

 

想像しただけで怖いですね。

 

それだけならまだしももっと嫌なことがあります。

それは癌細胞の播種です。

大腸癌の細胞がお腹の中に飛び散ってしまうリスクがあるんですね。

 

なのでステント治療の適応はしっかりと考えなくてはいけません。

 

あとは腸閉塞が治った後に抗がん剤や放射線治療を考えている方にはステントは要注意です。

もちろん患者さんによって細かいところが変わってくるので一般論だけでは語れませんが。

穿孔のリスクが高まってしまうんですね。特にベバシズマブ、レゴラフェニブ、ラムシルマブといった薬は本当に注意が必要です。

僕も一人ベバシズマブという薬で穿孔した患者さんを経験しています。

ステント治療は適応をしっかり考えて行うべき

逆にステント治療がすごく効果的な患者さんもいらっしゃいます。

それは

根治手術も抗がん剤も放射線治療も考えていない人

です。

例えばもうご高齢で、治療も行いたくないけれどもしんどいのだけどうにかして欲しい

という場合ですね。

ステント治療が発達したおかげで、お腹を切らずに閉塞症状を改善することができるようになったんですね。

お腹を切るストレスや、人工肛門になるストレスを考えるととても有意義な治療だと言えます。

点滴

点滴治療のみで腸閉塞症状を改善させることも可能なことがあります。

あくまでも腸閉塞を改善させるというよりも

腸閉塞による症状を改善させるんですね。

オクトレオチドステロイドという2つの薬を組み合わせて治療に当たることが多いですね。

あとは点滴の量が多いとなかなか腸閉塞の症状が改善しないので点滴量をある程度減らすことも重要です。

イレウス管という長いチューブを口からもしくは肛門から挿入して腸の中身を体外に出してあげることもありますが、実際かなり不快なものなのでほとんど行われることはなくなってきています。(大腸ステントを行いながら、バックアップで口からイレウス管を入れることはあります。)

特にお尻からイレウス管を入れることはまずなくなってきました。

僕が医者になった当時はよく行われていましたが、この治療は実はすごく大変なんですよ。

手術するまでの間ずっと腸の中を洗わなくてはいけないんです。

1日に確か2Lくらい腸の中を洗っていたと思うのですが、正直効果があったかどうかは定かではありません。

 

実際は特殊な場合を除いて緩和医療では、最近は点滴治療だけと言うよりはステント治療を組み合わせて行うことがほとんどではないでしょうか?

 

まとめ

今日は大腸癌による腸閉塞について解説しました。

一言で大腸癌による腸閉塞と言っても、患者さんの現在の状況、背景によって治療方法は変わってきますので、主治医としっかりと相談して治療方針を決めていくのが良いと考えます。

今日はお疲れ様でした。

 

 

実は今回noteという媒体を使って電子書籍を書かせていただきました。

当サイト便秘LABOでは便秘と下痢にターゲットを絞ってブログを書いていますが、普段は消化器内科医として勤務していますのでお腹の癌の患者さんの診療に毎日当たっています。一度お腹の癌についてしっかりとまとめたいと思っていたんですね。化学療法や手術についての詳しい説明はしておらず、どちらかというと緩和医療に関する内容となっております。

ご家族や友人にお腹の癌を患われている方がいらっしゃる方や、まだ若いけれども癌について興味のある方に読んでいただきたい内容になっています。

もちろん今現在癌にかかっているけれども、これから一体どんなことが自分に起こるのか知りたいという方にもぜひ読んで頂きたい内容です。(覚悟が必要です)

有料ではありますが、一度読んで頂けると幸いです。

終わり方を知ると人生が動き出す〜お腹のガンになったらどうなるの?〜

 

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医