お腹の病気

大腸癌で出血が止まらなければどうするの?

大腸癌で出血が止まらなければどうするの?

こんにちは。

今日は大腸癌シリーズの続きです。

大腸癌で出血が止まらない場合はどうするか?について解説していきたいと思います。

大腸癌で大量出血は有り得るか?

ガンコちゃん

大腸癌でそんなに大量に出血することってあるんですか?

べんぴ先生

ちょろちょろと便に混じることがほとんどで、いきなり大量の出血を来たすことは稀や。ただ、稀やけれどもやっぱりあるにはある。

ガンコちゃん

実際にドバッと出てしまったらどうしたら良いんですか?

べんぴ先生

よっしゃよっしゃ。それについて今日は解説しましょ。

実際にそこまで大量の出血があって、どうしようか悩むというのは正直ほとんどありません。

ただ、稀なんですけれどもあるにはあるんですね。

今日は大腸癌による出血に対する対応方法について考えていきたいと思います。

お付き合いください。

どうやって止血するか?

これには何種類か方法があります。

もちろん病院の方針にもよりますが、まずは大腸カメラで観察するというのが通常の流れだと思います。

 

どんな時もまずは大腸カメラで観察する

ガンコちゃん

内視鏡検査ということですね?まずは敵を知るということか。

べんぴ先生

そういうこと。それだけではなくて内視鏡を使えば処置も行えるしね。

そうです。内視鏡は観察だけでなく、処置もできるんですね。

まずは大腸癌から出血している写真を見てみましょう。

 

ガンコちゃん

たくさん出血していますね。

べんぴ先生

いーや、こんなもんは序の口やね。

ガンコちゃん

もっと出血する場合もあるんですか?

べんぴ先生

そうや。この写真を見るとしっかりと腫瘍が見えるやろ?大量に出血している時はそもそも腫瘍を視認することすら困難なんや。

 

そうなんです。大腸から大量に出血していると、はっきり言って画面が真っ赤になってもう何にも見えません。こうなってくると内視鏡による処置は困難なので、早々に諦めます。

ガンコちゃん

諦めるんかい!!

べんぴ先生

ガンコちゃん、諦めることは医療においてものすごく大事なんや。ダメだと思ったらすぐに次の手段を考える。自分の持っている力を適切に判断するのが大事ということや。

ガンコちゃん

なるほど!

基本的には内視鏡で止血を行う時にもっとも使う道具はクリップというものです。

大腸ポリープを切除したことがある方なら、ご覧になったことがあるのではないでしょうか?

この白いのがクリップです。

ちなみにこの写真は大腸憩室出血に対して行ったもので、大腸癌による出血に対して行ったものではありません。

 

この僕らの最も信頼できる止血道具のクリップが、大腸癌による出血の場合はなかなか使えません。

もちろんたまに使用できる時もあるのですが、ほとんどの場合は使えません。

なぜか?

それは腫瘍全体から血が滲み出していることがほとんどだからです。

出血しているポイントが一箇所であればクリップは効果を発揮してくれます。

しかし、ポイントが定まらなければ使いづらいんですね。

あとは腫瘍というのは脆いので、クリップを腫瘍にかけるとクリップをかけたせいで周りの組織もボロボロになってしまい、さらに出血がひどくなるということもあります。

この辺りの判断がなかなか難しいんですね。

大腸癌にはなかなかクリップは使いづらい

ガンコちゃん

じゃあ、何を使うんですか?

べんぴ先生

病院によっても違うと思うけど、僕がよく使うのはアルゴンプラズマ凝固(APC)というものやね。

べんぴ先生

つまり内視鏡の先端からアルゴンガスを放出して電流を放電するんや。その熱効果で粘膜組織を凝固するんや。

ガンコちゃん

何のこっちゃですわ。

この辺りは理解する必要はありません。感覚的にわかってもらえればOKです。

実際に使用しているところの写真をお見せしますね。

この青い棒からアルゴンガスが出る仕組みです。

焼いている時は光が見えますが、なかなかその写真は探せませんでした。

焼いている時に写真をとる余裕はないですからね。

これが焼き終わった後の内視鏡写真です。

これは我ながらしっかりと凝固できたと思います。

でも実はこれで安心というわけではないのが、大腸癌の難しいところです。

 

一見出血が止まったように見えますよね?

 

もちろんこの時点では止血されているのですが、またすぐにじわじわ出血してくることがほとんどなんですね。

 

もちろんじわじわ出血する程度であれば、輸血を行ったりして様子を見ているうちに自然に止血されることが多いのですが、ビュッと出てしまったら内視鏡だけで止めきるのは難しいですね。

内視鏡だけで腫瘍からの大量出血を止めることは難しい

内視鏡でダメだったら?

 

諦めます。

 

いや、違います。

もちろん諦める場合もありますが。

諦めるというと悪い意味に聞こえるかもしれませんが、諦めた方が良い場合もあるんです。

それは患者さんがどれだけ元気かとか、患者さんやご家族の希望など色んな状況を見ながら判断します。

 

諦めない場合について考えましょう。

内視鏡で止血できず、血圧が下がってきて患者さんの病態が悪化した時には主に2つの選択肢があります。

内視鏡でダメだったら

①手術

②血管治療

一つ一つ見ていきましょう。

手術

ガンコちゃん

手術ってあの手術ですか?

べんぴ先生

あの手術や。

つまり大腸を切除してしまうということです。

癌を認める場所を含めて手術で取り除いてしまおうということですね。

根本的ですよね。

もちろん状態がある程度良い方だと適応になるのですが、そもそも大腸癌で大量出血を起こしてしまう人というのは、体力もかなり低下していることが多いんですね。

手術するためには全身麻酔が必要なので、それに耐えられる人にしかできません。

その時の患者さんの状態や今までの経過、あとは当然希望をお聞きして手術をするかどうか決めるのです。

しかも緊急で手術に踏み切る時は時間の猶予がほとんどないので、すぐに決断をする必要があります。

こういう判断は本当に難しいですね。

血管治療

これは病院によってできる施設とできない施設があります。

放射線科の先生がやられることが多いですが、消化器内科や外科の先生が行う場合もあります。

その病院のマンパワーによって変わってくるというのが現状ですね。

 

血管治療というのは要するにカテーテル治療ですね。

出血を引き起こしている動脈をなんとかして見つけ出し、その血管を塞栓物質で詰めてあげるんですね。

その腫瘍を栄養している血管を詰めてあげれば出血が止まるという理論です。

これもすごく効果的ですね。

体力が弱っている人には手術よりもこちらが選択されるかもしれません。全身麻酔の必要がないですので。

もちろん治療方法を選択する時には色んな因子を総合して考えるので、一概には言えませんが。

まとめ

今日は大腸癌からの出血が止まらない場合についてご説明しました。

正直に申し上げると腫瘍出血はなかなか対応が難しいことが多いんですね。

治療方法を選択することは難しいですが、あくまでも主治医と患者さん・ご家族と相談して決めます。

このような選択肢があることをあらかじめ知っておけば、いざそのような事態になってしまった時に冷静に判断できるので頭の片隅に置いておくと良いと思います。

今日はお疲れ様でした。

 

 

実は今回noteという媒体を使って電子書籍を書かせていただきました。

当サイト便秘LABOでは便秘と下痢にターゲットを絞ってブログを書いていますが、普段は消化器内科医として勤務していますのでお腹の癌の患者さんの診療に毎日当たっています。一度お腹の癌についてしっかりとまとめたいと思っていたんですね。化学療法や手術についての詳しい説明はしておらず、どちらかというと緩和医療に関する内容となっております。

ご家族や友人にお腹の癌を患われている方がいらっしゃる方や、まだ若いけれども癌について興味のある方に読んでいただきたい内容になっています。

もちろん今現在癌にかかっているけれども、これから一体どんなことが自分に起こるのか知りたいという方にもぜひ読んで頂きたい内容です。(覚悟が必要です)

有料ではありますが、一度読んで頂けると幸いです。

終わり方を知ると人生が動き出す〜お腹のガンになったらどうなるの?〜

 

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医