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大腸ポリープってどうやって切除するの?
こんにちは。
べんぴ先生です。
今日は大腸ポリープについて解説していきたいと思います。
お付き合いください。
大腸ポリープを切除するのに入院が必要?
解説しましょう。
基本的に小さなポリープであれば大腸カメラ検査の際に切除してしまうことが多いですね。
つまり入院はせずにそのまま帰ることができるということです。
ただ、ある程度大きなポリープを取ったり、切除したはいいもののそのあとたくさん出血してしまう時は入院をオススメすることが多いですね。
つまり、切除後の出血のリスクが高いと判断した場合に入院をオススメします。
特に最近は抗血小板薬や抗凝固薬という種類の薬を飲んでいる方はポリープ切除後出血のリスクが高いので要注意です。
大腸カメラ検査はどこで受けるのがいい?
開業医の先生は大腸ポリープを見つけてもその場でポリープを切除せずに、病院へ紹介されることがあります。
つまり患者さんにとっては2回大腸カメラを行う必要があるということです。
これはポリープ切除による出血や穿孔(破れてしまうこと)のリスクがあるのである程度仕方のないことかと思いますが、患者さんにとっては体力的にも金銭的にも時間的にもロスになってしまうのであらかじめクリニックの先生と話し合って決めるのが良いと思います。
大腸カメラ検査は決して楽な検査ではないですからね。
前日から下剤を飲んで、当日はさらに2リットルの下剤を飲み、検査自体も場合によっては痛みを伴います。
もちろんかかりつけのお医者さんに内視鏡をやってもらうメリットもあるでしょう。
異常がなければ2回目を行う必要はないですしね。
あとは鎮静剤を使用したいかどうかによっても、検査を受ける場所は変わってきます。
要するに検査を受ける間眠っていたいかどうかですね。
鎮静剤を使ってくれる病院もしくはクリニックなのかどうかをインターネットであらかじめ調べておくことをオススメします。
このように、検査を受ける場所はよく考えた方が良いですね。
そもそもポリープって何?
みなさんポリープってよくお聞きになるとは思うのですが、実際どんなものかご存知ですか?
ポリープという言葉は形を表す言葉なんです。
わかりやすく言うと
ポリープ=イボのようにぽこっとしたデキモノ
ただ見た目を表しているんですね。
見た目より大事なものは?
質ですよね。
人間と同じです。笑
つまりそのポリープが腫瘍なのか腫瘍じゃないのか。
腫瘍だとしたら良性なのか悪性なのかということです。基本的には良性は腺腫と呼び、悪性を癌と呼びます。
腫瘍であれば切除する必要がありますし、逆に腫瘍じゃなければ切除しなくても良い可能性があるんですね。
ちなみに腫瘍かどうかはポリープの模様を見ればほとんどの場合わかります。(100%ではないことに注意が必要です。)
大腸ポリープはどうやって切除するの?
本題に入りましょう。
実際の写真をお見せしながら解説しますね。

例えばこのポリープ。どうやって切除しましょうか。

この金属の輪っかで締め付けて熱によって焼くんですね。
この輪っかのことをスネアと呼びます。

こんな感じです。首を締める感じですね。

熱を通して焼いたので白く変色していますね。
ポリープが取れました。
白く凝固されているのがわかります。

医療用のクリップと呼ばれるもので切除後の出血を予防するために傷口を閉じていきます。

合計で2発クリッピングを行いました。

切除したポリープです。コロコロしていますね。これを回収します。
先ほどもお伝えした通り、ポリープの質が大事なんです。
しっかりと回収して顕微鏡で見て、腫瘍なのかどうか・腫瘍であれば良性なのか悪性なのかを判断する必要があるんですね。
(たまに見失うこともあります。ロストと呼びます。)
2つ目のポリープを見てみましょう。

先ほどよりも少し小さいですね。
10mm以下であり熱を通さずに切除することにしました。

今度は白色に変化していませんね?

切除したあとも出血していないですね?
これはcold polypectomy(コールドポリペクトミーという手法です。)
3つ目のポリープに移りましょう。

首がすごく長いですね。
医学的には有茎性ポリープと呼びますので、首ではなくて茎ですね。

この茎の中に太い血管が走っていることが多いので、今までのように普通に切除すれば出血のリスクが高いです。しかもほとばしるように出血することが多いんですね。
内視鏡は一度大量に出血してしまうと視野が悪くなって全く見えなくなってしまうことがあるんです。
そうなってしまうと後手後手になり、止血が難しくなってしまうので、あらかじめこの茎を処理します。
具体的には先ほどのクリップを茎に打ち込むんですね。


こんな感じで先に血流を遮断するんですね。

みてください。ポリープの色が変わったのがわかりますか?
赤色から紫色に変わったのがお分かりかと思います。
こうしておくと出血のリスクが減るんですね。ちょっとした工夫です。

切除した後も出血しませんでしたね。

最後に念のためクリップを1発追加しました。
ここまでやっても後日出血するときはするので、なかなか難しいものです。
ポリープって全部切除するの?
実は欧米と日本で考え方が違っています。
欧米ではどんな小さなポリープでも切除することが多いのです。
この考えをクリーンコロンと言います。
逆に日本では5mm以下のポリープは取らないことが多いですね。
全部取れば良いではないか?
声が聞こえてきそうですね。
もちろん取っても良いのですが、取ることで出血や穿孔などの合併症のリスクがあることも忘れてはいけません。
5mm以下であればよっぽど稀なケースを除いて癌である可能性はまずありませんし。
この辺りはメリットとデメリットを考えながら、それぞれの医師の裁量に任されているのが現状だと思います。
どれくらいの間隔で大腸カメラを受ければいいの?
これも気になるところですよね。
毎年やるべきなのかとか?
まとめ
今日は大腸ポリープについて解説させていただきました。
参考になりましたでしょうか?
もしも便潜血検査を受けて引っかかったけど受けたくないという方がいらっしゃったら、ぜひ一度大腸カメラ検査を受けてみてください。
大腸癌は本当に怖いですからね。
検査を受けて大腸癌やポリープがなけれ「よかったよかった」で終わりますし、
もしも大腸癌があったとしても、発見が早ければ早いほど予後はよくなるんですね。
怖いとは思いますがぜひ受けてみてください。
今日はお疲れ様でした。
実は今回noteという媒体を使って電子書籍を書かせていただきました。
当サイト便秘LABOでは便秘と下痢にターゲットを絞ってブログを書いていますが、普段は消化器内科医として勤務していますのでお腹の癌の患者さんの診療に毎日当たっています。一度お腹の癌についてしっかりとまとめたいと思っていたんですね。化学療法や手術についての詳しい説明はしておらず、どちらかというと緩和医療に関する内容となっております。
ご家族や友人にお腹の癌を患われている方がいらっしゃる方や、まだ若いけれども癌について興味のある方に読んでいただきたい内容になっています。
もちろん今現在癌にかかっているけれども、これから一体どんなことが自分に起こるのか知りたいという方にもぜひ読んで頂きたい内容です。(覚悟が必要です)
有料ではありますが、一度読んで頂けると幸いです。
終わり方を知ると人生が動き出す〜お腹のガンになったらどうなるの?〜