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大腸ポリープ切除後に出血!?
みなさんこんにちは。
べんぴ先生です。
前回は大腸ポリープについてまとめさせていただきました。
今日はポリープを切除した後の出血について解説したいと思います。
お付き合いください。
どのくらいの割合で出血するのか?
ちなみにポリープを切除した後に起こる出血のことを、僕らはポリペク後出血と呼んだりします。
なぜそんな名前で呼ばれるかというと、ポリペクトミーというポリープを切除する方法があるんですね。
ポリペクトミー後出血➡︎ポリペク後出血というわけです。
ポリペク後出血が起こる割合は0.4%と言われています。
つまり250人に一人ですね。
ポリペク後出血は250人に一人くらい起こると言われている
ポリペク後出血の起こる割合については報告によっても違うので、正確な値はなんとも言えませんが、僕の印象としても100人〜250人に一人くらいかと思います。
ポリペク後出血も怖いのですが、さらに怖い合併症に消化管穿孔というものがあります。つまり腸が破れてしまうことですね。
この割合は0.2%。
つまり500人に一人ですね。
正直に申し上げると穿孔の方が圧倒的に怖いですね。
というのも大腸は穿孔すると便がお腹の中に漏れ出てしまうんですね。
便というのはやはり汚いので、お腹の中が便まみれになることは本当に怖いことなんですね。
逆にポリペク後出血はほとんどの場合、再度内視鏡による止血処置を行うことでほとんどの場合、大事にはなりません。
たまに手術に至ることもあるようですが、僕自身はそのようなことは経験したことがありませんし、おそらく手術に至る数は相当少ないのではないかと考えます。
大腸ポリープは入院せずに外来診療で行うことがほとんどであるがゆえに、皆さんも「ポリープ切除は安全」という印象を持ってしまうかもしれませんが、合併症が一定数あるのが事実です。
実際、民間の医療保険に入っている方はご存知かと思いますが、大腸ポリープ切除は「手術」に分類されていますし、手術としてお金もおりるんですね。
いくら日帰りであっても列記とした「日帰り手術」なわけです。
合併症はありうると認識して治療を受けていただくのが良いと考えます。
実際にポリープ切除後出血の内視鏡写真を見てみましょう
百聞は一見に如かず。
実際にポリペク後出血の写真をお見せします。

このポリープを内視鏡で切除したんですね。

切除した後若干の出血があったのと、この大きさであればクリップをかけることが多いので、この症例でもクリッピングを行いました。

クリップ1発では傷口を閉じきれなかったので、最終的に3発行いました。
これでもポリペク後出血は起こってしまうことがあるんですね。
ポリープ切除を行ってから2日後に来院されました。
そのときの内視鏡写真がこれです。


2日前にかけたクリップはしっかりと残っています。
それでも出血するときはします。
この場合は一番左のクリップと真ん中のクリップの間から出血していますね。
内視鏡で止血を行うときに重要なポイントは
視野を保つこと
出血点をしっかりと見つけること
この2点に尽きますね。

1発クリッピングを行ったら止血されたように見えました。

しかししばらく見ていると、また出血してきました。
おそらくこの下にある程度太い血管が走っているんでしょうね。

最終的には3発追加し、2日前のクリップと合わせて6発かけたことになります。
念のため入院していただき、この後は特に出血することはなく1日で退院となりました。
いつ頃ポリペク後出血は起こる?
ポリープを切除してから基本的には3日以内に出血することが多いです。
ポリープを切除して3日以内に出血が起こることがほとんど
ほとんど、というのがポイントです。
1週間くらい経ってから出血した患者さんを経験したこともありますし、それまで全く何もなかったのに15日目に出血したという症例報告もありました。
稀ではありますが、切除してから2週間くらいは出血に注意しながら生活するのが良いかと考えます。
もちろん普通は切除後2週間くらい経ってから出血するような方というのは、なんらかのリスクがあることが多いです。
例えば腎臓や肝臓が悪いとか、抗凝固薬や抗血小板薬という血液をサラサラにするような薬を飲まれているとか。
そのような方は健康な方よりも注意が必要なんですね。
後は大きなポリープを切除した人は注意が必要です。
切除したポリープが大きくなればなるほど、出血するリスクは高まることがわかっています。
具体的には15mmを超えるようなポリープですね。
大きくなればなるほど癌のリスクも高まるので注意が必要です。
切除後にどんなことに気をつければ良い?
箇条書きにしてみます
・血流がよくなるようなことはしない
・大腸カメラ検査の後2週間くらいはあらかじめ無理な予定は組まない
この2点が大事ですね。
血流がよくなることはしないというのは例えば、
運動、性行為、湯船につかる、アルコール、タバコなどですね。
後はあらかじめ2週間くらい予定を切っておいてください。
出張や飛行機に乗る、引っ越しなどです。(ポリープを切除するのは手術なので当然ですね。)
僕の印象ではアルコールはかなりの確率で出血を引き起こす気がしますね。
どれくらい安静にしておけば良いか?については決まった答えはないですが、2週間くらい見ておいても良いと思います。
まとめ
今日はポリープ切除後出血についてまとめてみました。
ポリープ切除は立派な手術なので、それなりに合併症もありますし術後の注意点があることも説明しました。
今日はお疲れ様でした。
実は今回noteという媒体を使って電子書籍を書かせていただきました。
当サイト便秘LABOでは便秘と下痢にターゲットを絞ってブログを書いていますが、普段は消化器内科医として勤務していますのでお腹の癌の患者さんの診療に毎日当たっています。一度お腹の癌についてしっかりとまとめたいと思っていたんですね。化学療法や手術についての詳しい説明はしておらず、どちらかというと緩和医療に関する内容となっております。
ご家族や友人にお腹の癌を患われている方がいらっしゃる方や、まだ若いけれども癌について興味のある方に読んでいただきたい内容になっています。
もちろん今現在癌にかかっているけれども、これから一体どんなことが自分に起こるのか知りたいという方にもぜひ読んで頂きたい内容です。(覚悟が必要です)
有料ではありますが、一度読んで頂けると幸いです。
終わり方を知ると人生が動き出す〜お腹のガンになったらどうなるの?〜