お腹の病気

大腸癌の治療方針についてわかりやすく解説しましょう!

大腸癌の治療方針についてわかりやすく解説しましょう!

こんにちは。

べんぴ先生です。

今日は大腸癌の大まかな治療方針について簡単に解説してみたいと思います。

ガンコちゃん

大腸癌シリーズ長いですね。

べんぴ先生

大腸癌は本当に多いからね。困っている方も大勢いらっしゃるんじゃないかと思ってね。google検索しても一般の方向けのわかりやすいサイトというのがあまりなさそうやから。

ガンコちゃん

でも先生そろそろ便秘・下痢シリーズに戻らないと。

べんぴ先生

心配しなくても並行してやっていくつもりやで。まだまだ書きたいことはいっぱいあるから。

大腸癌のステージ分類

皆さんステージという言葉はお聞きになったことがありますでしょうか?

癌になっていない人でも多分ほとんどの方はご存知かと思います。

おそらくテレビでよく聞くのはステージⅣでしょうね。

ガンコちゃん

ステージⅣと言ったらもうダメなやつじゃないですか!?

べんぴ先生

一般的にはそうや。大腸の場合はまたちょっと特殊なんやけどね。それはそうとガンコちゃん、ステージは何から何まであるか知ってるか?

ガンコちゃん

Ⅰ〜Ⅳじゃないんですか?

べんぴ先生

いや、違う。0〜Ⅳや。

皆さんご存知でしたか?ステージは0〜Ⅳまであります。

ステージ0は癌にかかっていない・・・いや、違います。

大腸癌のステージ0=癌が粘膜の中だけにとどまっていて、リンパ節転移がないものです。

 

皆さんが想像されるようにステージが0➡︎Ⅰ➡︎Ⅱ➡︎Ⅲ➡︎Ⅳと上がっていくに連れて、当然予後は悪くなってきます。

ちなみに膵臓癌では80%の人が発見された時にはすでにステージⅣと言われています。

どれだけ早期発見が難しい癌かお分かりかと思います。

 

話が逸れました。

それではどうやってステージは決まるのかご存知ですか?

べんぴ先生

知ってるかい、ガンコちゃん?

ガンコちゃん

当然知りません。転移とかですか?

べんぴ先生

転移も正解。転移にも2つあるんやけどね。ステージは大きく3つの因子で決まっているんですね。

ステージは3つの因子で決まる

ちなみに3つの因子とは

①根っこの深さ(T)

②リンパ節転移(N)

③遠隔転移(M)

です。

TとNとMでTNM分類です。

TNM分類

①根っこの深さ(T)

②リンパ節転移(N)

③遠隔転移(M)

癌の根っこの深さはものすごく大事

 

癌とものはそもそも一番表面の上皮というところから発生します。

大腸癌の場合は粘膜から発生します。

癌が大きくなるにつれて根っこがどんどん深くなっていくんですね。

基本的に大きくなればなるほど根っこは深いに決まっているんですが、大きくても根っこが深くないタイプの腫瘍もあるので一概には言えません。

この根っこの深さのことを医学的には深達度と呼びます。

 

内視鏡検査では腫瘍の深達度を見た目から予想しているんですね。

予想と言ってもデータが集積しているので、かなり正確ですが。

 

内視鏡の勉強会にいくとこんな会話がよくあります。

「で、先生の考える深達度は?」

こんな感じです。

実際のステージ分類は?

 

べんぴ先生

落ち着け、ガンコちゃん!

ガンコちゃん

まだ何も言ってませんよ。

わけがわからないですよね。

別に覚える必要もありませんが、ポイントだけ押さえましょう!

ステージングのポイント

肝臓や肺などに遠隔転移があればステージⅣが確定

リンパ節転移があればステージⅢ以上が確定

遠隔転移、リンパ節転移がなければ、根っこが浅い順から0➡︎Ⅰ➡︎Ⅱ

これだけでOKです。

 

例えばお医者さんから

「遠隔転移はありませんでしたがリンパ節には転移していました」、と言われたら

「ああ、私はステージⅢなんだ」と思えば良いです。

 

「遠隔転移もリンパ節も転移していなかったですが根っこはかなり深かったですね」と言われたら

「ああ、私はステージⅡだったんだ。よかったわ。」となります。

 

「遠隔転移があって・・・」

ステージⅣ確定です。

ステージには2種類ある

べんぴ先生

ステージには2種類あるって知っていたかい、ガンコちゃん?

ガンコちゃん

いや、知りませんよ。癌になったこともないから、勉強したこともないし。

べんぴ先生

まあまあ。身内の人が癌になるかもしれないやんか。知ってるに越したことはないよ。

ステージには

クリニカルステージパソロジカルステージの2つがあります。

ステージにはクリニカルステージとパソロジカルステージの2つがある。

クリニカルステージとは手術をする前に予想するステージです。

これは大腸内視鏡検査で大腸カメラを見た時に根っこの深さを想像したり(ほとんどわかります。)、お腹のCT(基本は造影剤を使います)を撮ってリンパ節に転移していないか、肝臓や肺などの臓器に遠隔転移はないかを調べます。

それによって例えば

この大腸癌の写真からは根っこは筋層までは行っているだろう

CTで周りのリンパ節が腫れているね

肝臓や肺には飛んでいなさそうだ

 

となるとステージはⅢです。

正確に言うとクリニカルステージはⅢです。(ⅢAなのかⅢBなのかとあまり詳しいことは置いておきましょう。)

 

こんな風に予想するんですね。

先ほど解説したのと同じですね。それを術前にやるだけです。

 

そして術後に切除した検体、病変をプレパラートにして顕微鏡で観察します。

そこで最終的に決定するのがパソロジカルステージです。

パソロジカルというのはpathological

つまり病理学的なという意味ですね。

 

CTではリンパ節が腫れていないように見えたけど実際に切除してみるとしっかりと転移していた

みたいな感じです。

 

なのでステージⅡと言われたけれども、手術をしたらステージⅢに変わったということもありえます。

これは仕方のないことなんですね。

誤診ではありません。

ちなみにステージⅢであれば術後に抗がん剤治療が必要なんですね。

ステージⅡとステージⅢでは大きな違いがあります。(ステージⅡでもハイリスクなものは抗がん剤治療を行うこともあります)

 

ステージで考える治療法

大まかに解説しましょう。

大腸癌ステージ別治療法

stage0とstageⅠの半分➡︎内視鏡治療

stage1の半分〜stageⅡ➡︎手術

stageⅢ➡︎手術+術後化学療法

stageⅣ➡︎ケースバイケース

どうでしょうか?

だいぶすっきりさせました。

内視鏡治療というのは主にESDという治療ですね。

ESDについては以下の記事で解説していますので参考にしてくださいね。

手術については最近は腹腔鏡手術を行うことが多いですが、これもいろいろな要素を考え決定するので一概には言えません。

ガンコちゃん

問題はstageⅣですね。

べんぴ先生

そうや。これはなかなかに難しい問題や。

大腸癌ステージⅣの治療

皆さんはstageⅣと聞くともうダメだと思うかもしれませんね。

もちろんstageⅢ以下のものに比べると予後が悪いのは当然なのですが、膵臓癌や胃癌と比較すると予後が良いと言えるんですね。

大腸癌はstageⅣでも根治手術を行う場合があります。

大腸癌はstageⅣでも根治手術を行う場合がある

これはとてもすごいことです。

どんな時に根治手術を行うかというと

例えば

大腸癌が肝臓に転移しているけれども手術で頑張ればどちらも取り切れる場合

です。

これが一番多いですね。

もちろん肝臓はある程度残す必要があるので、切除しても正常な肝臓がある程度残って、普通に生活できるくらいであればOKです。

 

ちなみに大腸癌が肝臓と肺のどちらにも転移している場合はどうでしょうか?

ガンコちゃん

さすがにダメでしょ

べんぴ先生

いや、手術できるんや。エビデンスレベルが高いわけではないけど、僕も切除したほうが良いと思ってる。

すごいですよね?

このすごさがわかりますか?

膵臓癌などを経験していないとわからないかもしれませんね。

すごいことなんですよ。

 

しかし、大腸癌と転移巣のどちらも取り切れることが条件です。

どちらか一方でも取りきれない場合はダメです。

 

何度も言いますが

肝臓や肺に転移があろうと、すべて切除しても体が耐えられるのであれば手術ができます。

これが最重要ポイントです。

 

逆に大腸癌と転移巣のどちらか一方でも取りきれないのであれば根治術はできません。

 

根治術を強調するのにはわけがあります。

それは

手術には根治術と姑息的(こそくてき)手術の2つがある。

わかりますか?

何度かご説明していますが、根治術というのは文字通り癌を根治させるための治療です。

姑息的というのは根治は狙えないけれども、例えば腸閉塞症状が出ているから大腸癌だけ切除しようとか、あるいは切除するのも危ないから人工肛門だけ作ろう、というものです。

つまりstageⅣの種類には2種類あるということです。

姑息的手術はどういうシチュエーションで行うかというと

腸閉塞症状が出てしまっている時や出血がひどく、放っておくとひどい貧血になってしまう場合ですね。

この辺りの症状については以下の記事を参考にしてくださいね。

 

 

 

もしも積極的治療を行っていくのであれば、

姑息的手術の後に抗がん剤治療を行います。

 

抗がん剤治療を続けていく中で奏功すれば根治手術が可能になる時もあります。

これをコンバージョンセラピーと呼ぶのでしたね。

これは僕個人の意見ですが、コンバージョンセラピーができると主治医に言われたら、頑張って手術を受けたほうが良いと思います。

ガンコちゃん

それはなんでですか?

べんぴ先生

それは・・・抗がん剤を続けていくのは大変やからや。

これも詳しくはまたの機会にお話ししますが、抗がん剤をずっと続けていくのは本当に大変なことです。

抗がん剤が効いているからもっと続けたいと思う気持ちはお察ししますが、手術可能になったらその時点で時期を逃さず手術を行うのが良いかな、と個人的には考えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

コンバージョンセラピーや抗がん剤についてお話しをするととてつもなく長くなってしまうので、またの機会に取り上げさせていただきたいと思います。

今日はお疲れ様でした。

 

 

実は今回noteという媒体を使って電子書籍を書かせていただきました。

当サイト便秘LABOでは便秘と下痢にターゲットを絞ってブログを書いていますが、普段は消化器内科医として勤務していますのでお腹の癌の患者さんの診療に毎日当たっています。一度お腹の癌についてしっかりとまとめたいと思っていたんですね。化学療法や手術についての詳しい説明はしておらず、どちらかというと緩和医療に関する内容となっております。

ご家族や友人にお腹の癌を患われている方がいらっしゃる方や、まだ若いけれども癌について興味のある方に読んでいただきたい内容になっています。

もちろん今現在癌にかかっているけれども、これから一体どんなことが自分に起こるのか知りたいという方にもぜひ読んで頂きたい内容です。(覚悟が必要です)

有料ではありますが、一度読んで頂けると幸いです。

終わり方を知ると人生が動き出す〜お腹のガンになったらどうなるの?〜

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医