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大腸癌ステージ4に行う抗がん剤治療をわかりやすく解説してみる!②
皆さんこんにちは。
べんぴ先生です。
今日も大腸癌の抗がん剤治療について一緒に勉強していきましょう。
お付き合いくださいね。
前回のブログを読んでおられない方はこちらを先に読んでくださいね。
実際に大腸癌治療ガイドラインをどう使うか?
下の図をみてください。
これはガイドラインの一部です。しかも一つ前のものなので最新ではありません。
こんなふうに5次治療まであるんですね。
最新のガイドラインでは最大6次治療まであります。
これらの薬を使い切るのが良いとされています。
しかし、もっと伝えておきたいことがあります。
この図をよくみてください。
途中で多少の分岐点はありますが、基本的には1次治療、つまりはじめに行うレジメンさえ決まってしまえばあとはベルトコンベアーのように治療が決まっていくんですね。
これが重要なポイントです。
はじめに行うレジメンが決まれば、後はある程度自動的に決まっていく
もちろん全部が全部この通りに行くわけではないですよ。
副作用の問題や、色々なトラブルが出てくることが多いですしね。
右に右に進んでいってもUターンして前の治療に戻ることもあります。
ただ、概ねこの道から逸れることはあまりないと考えていただいて結構です。
となると、どうやってはじめのレジメンを決めればいいのか気になりませんか?
どうやってはじめのレジメンを決めるのか?
どうやって決めるのか?
これもガイドラインに書いてあります。
その前に1番目のレジメンは何種類くらいあると思いますか?
細かいものまで入れると16種類はあります。
その中からどうやって1つに決めるのでしょうか?
選ぶ際のポイントをお示ししますね。
①RAS遺伝子変異
②BRAF遺伝子変異
③腫瘍が左右どちらにあるか
これが今日のちょ〜重要ポイントです。
この3つの言葉さえ覚えていただけたら今日の内容はバッチリです。
ちなみに
RASは「ラス」
BRAFは「ビーラフ」
と読みます。
RAS,BRAFという遺伝子はどうやって検査をするかというと
大腸癌の組織から調べます。
基本的にどの癌でもそうなのですが、抗がん剤を行う時には癌である確証が欲しいんですね。
良性の病気に対して抗がん剤を行ったらそれこそ大問題です。
抗がん剤は副作用が強いので、健康な人に行って副作用だけ出てしまったら目も当てられないですよね?
なので基本的には抗がん剤治療を開始する前に癌である確証を得ます。
どうやって得るかというと、腫瘍から直接組織をとってくるんですね。
これを生検(せいけん)と呼びます。
大腸の場合は比較的単純で、簡単です。
大腸カメラで大腸癌を探してそこから組織をつまんでとってこれば良いのですから。
胃癌の場合も簡単ですよね?
胃カメラで腫瘍を直接みながら組織をつまんでこれば良いだけです。
もちろん出血などのリスクはありますけどね。
でも抗がん剤を始めるんですから、それくらいのリスクは取らないといけません。
逆に膵臓癌であれば直接見えないので胃癌や大腸癌のようにはいきません。
この場合は膵液細胞診といって膵臓の中を流れる膵液を直接採取して調べたり、EUS-FNAと言って超音波内視鏡という特殊な内視鏡を使って針を刺すという方法をとります。
膵臓癌についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
話がそれましたね。
RAS遺伝子とBRAF遺伝子の話でしたね。
これらの遺伝子は大腸癌の組織から検査するんでしたね。
簡単に説明すると
遺伝子に異常がある場合、変異型といい
遺伝子が正常であれば、野生型といいます。
野生型はワイルドなんて呼んだりもします。
RAS野生型は「ラスワイルド」みたいな感じです。
具体的にどんな場合にどんな治療を選択するのか、説明していきますよ。
具体的な話をしましょう

そうです。覚える必要は全くありません。
ラスとビーラフと左右の3つの要素で治療が決まってくる。
これだけわかればOKです。
そうなんです。逆にこういうふうに複雑に見えるということはむしろ患者さんにとってはすごく良いことなんですよ。
極論をいえばもっともっと遺伝子を調べて
あなたはこれとこれとあれとそれと遺伝子に変異があるんですけど、これとそれとあれは大丈夫なのでこの治療にしましょう!
より繊細な治療ができているような気がしませんか?
これをプレシジョンメディシンといいます。
より精密な、繊細な医療という意味ですね。
以前にもご紹介したと思います。
将来的にはどんどんこの方向に進んでいくでしょうね。
患者さんにとってはとっても良いことなんです。
僕らはもっともっと勉強しなくてはいけなくなりますが。
それでは先ほどの図に戻りましょうか。
説明すべき単語がいっぱい出てきましたね?
2剤,3剤,Bev,FOLFOX,FOLFILI,Cet,Paniです。
難しい医療単語が多すぎる件
まずは2剤と3剤について説明しましょう。
2剤というのは抗がん剤を2種類使うということです。
3剤というのは抗がん剤を3種類使うということです。
わかりやすいですね。
具体的には
・2剤➡︎FOLFOX CAPOX SOX FOLFILI S-1+IRI
・3剤➡︎FOFOXIRI
難しい単語がたくさん出てきましたね。
でも大丈夫です。ここでは全く覚える必要はありません。
ただ、FOLFOXやSOXは何度か出てきてるので、少しは馴染んできたのではないでしょうか?
こんなふうに大事な言葉は何度も出てくるんですね。
ちなみに2剤と3剤。どちらがより大変な治療かわかりますか?
当然3剤ですね。
抗がん剤を3種類も一気に使うのですから。
なのでこういう強い治療はもともと元気な人にしかできません。
FOLFOXやFOLFILIというのは抗がん剤を組み合わせたレジメンの名前です。
FOLFOXは5-FU/l-LVとオキサリプラチンの組み合わせ。
FOLFILIは5-FU/l-LVとイリノテカンの組み合わせです。
オキサリプラチンやイリノテカンもすでに覚えてきたんじゃないですか?
何度も何度も出てきますよ、大事な言葉は。
Bev=ベバシズマブ
Cet=セツキシマブ
Pani=パニツムマブ
すべて分子標的薬ですね。
この3つは分子標的薬の基本となるので覚えておいても損はないですね。
この3つの使い分けもすごく大事ですので、またの機会にお話しします。
つまり抗がん剤と分子標的薬を組み合わせて、合計3つの薬もしくは4つの薬を使うというのがはじめに行う化学療法の基本となるということです。
それにしても大腸の左右で治療に差が出るのは面白いと思いませんか?
僕は非常に興味深いなと思ってしまいますね。
こちらについては以下のブログでしっかりと説明していますので参考にしてくださいね。