残便感と血便がある時は病院に行くべき?
こんにちは、べんぴ先生です。
今日もよろしくお願いします。
今日は残便感シリーズ第2弾です。
第1弾を読まれていない方はぜひこちらを読んでからご覧くださいね。
残便感と血便を認めた時は病院に行くべきなのでしょうか??
簡単に解説していきたいと思います。
残便感を感じる時はどんな病気を考えるべきか?
これについては前回お話させて頂いた通りです。
残便感には2種類あるんでしたね。
一つは便をした後にお腹に便が残っている感覚。
2つ目は便をした後にお尻の近くに便が残っている感覚。
お腹に便が残っている感覚がある時は、排便回数減少型の便秘に分類されることが多く、
お尻の近くに便が残っている感覚がある時は、排便困難型の便秘に分類されるのでした。
・お腹に便が残っている感覚➡︎排便回数減少型
・お尻に便が残っている感覚➡︎排便困難型
このお話についてはしっかりと解説した記事がありますので、こちらを参考にしてくださいね。
残便感だけでなく血便もある時はどう考える?
率直に言いましょう。
残便感+血便は危ないサインです。
医学的にはレッドフラグサインと言ったりもします。
危ないサインのことをレッドフラグサインって言うんやで。
なぜ残便感+血便がレッドフラグサインなのか?
それは・・・
直腸癌の可能性があるからです。
これはちょっと今までとは別次元の問題です。
必ず大腸カメラ(内視鏡検査)を受けてください。
必ず大腸カメラ検査を受けるんやで。絶対やで!
残便感+血便では、結構高い割合で直腸癌があります。
もちろん年齢というファクターは非常に大事です。
20歳や30歳で直腸癌である確率はものすごく低く、60歳や70歳でこの主訴があれば直腸癌の可能性が高くなります。
直腸癌では直腸診といって、指を肛門から入れるだけで腫瘍を触れることができます。
これで勝負ありです。
硬いコリコリが触れた瞬間、こちらも非常に切ない気持ちになります。
もちろん内視鏡検査で確認はしますよ。

腫瘍があれば生検(組織をつまみ取ること)をします。顕微鏡の検査(病理検査)に提出して、最終確認です。
その後は造影剤を使ったCTを撮影して転移がないかどうかなど確認します。
手術できれば良いですが、転移の状況次第では手術できない可能性もあります。
また、仮に手術できたとしても肛門から指を入れて触れる場所に腫瘍があれば、人工肛門(お腹から腸を引っ張り出して、固定すること)になる可能性が高いです。
なかなか厳しいですね。
病院に受診するのは怖いかもしれませんが、放っておくとさらにひどいことになってしまいますので、勇気を持って病院に受診しましょう。
もちろんまだ直腸癌と決まったわけではないですし。
直腸癌以外に考えなくてはいけない病気
痔
頻度が多いのは痔です。
内痔核とか切れ痔ですね。
僕もよく切れ痔になりますよ。
一時期は毎日血便が出ていました。
病院にはかからなかったですけれど。
医者の不養生ってやつです。
直腸癌よりも頻度は高いと思います。
切れ痔だけで残便感が出るかと言われると少し疑問が残りますが、
内痔核では出る可能性がありますね。
実際、内痔核を治療した後に残便感が消失した
という報告もあります。
一番よくあるのは排便困難型の便秘に切れ痔を合併した
というものではないでしょうか?
正確な数字については調べていないのでなんとも言えないですが、臨床をやっている感覚としてはやはり多いように感じます。
痔があったとしても、大腸癌があるかどうかは全く別問題やで。
潰瘍性大腸炎
これは僕のブログではあまり取り上げていない病気ですね。
僕の専門は消化器内科ですので、実はどちらかというと便排出障害よりも潰瘍性大腸炎の方が扱う機会が多いです。
この病気は本気で増えていますよ。
基本的には若い人の病気と言われていますが、高齢発症も十分ありえます。
急増しているので、否定しておく必要のある病気です。
この病気は本当の原因はわかっていませんが、免疫が関係していることは間違いないと言われています。
そして直腸から徐々に炎症が口側の大腸に広がっていくのが典型例です。
お尻の近くから炎症が始まるので、当然残便感も出ますし、頻回の下痢・血便・粘液便が出ます。
大腸カメラですぐに診断できます。
念のため生検して顕微鏡の検査に出しますが、実はあんまり当てにしていません。
顕微鏡の検査結果では
潰瘍性大腸炎で矛盾しませんよ
というのを確認するだけです。
潰瘍性大腸炎もずっと未治療で放置していると大腸ガンができる可能性が出てくるので、なるべく早めに受診して、治療を開始した方が良いと言われています。
潰瘍性大腸炎はほんまに多いで。必ず別の機会にブログにまとめますね。
まとめ
血便+残便感で考えるべき病気は、実は他にもあります。
大腸の病気もいろいろあるんです。
ですが、大腸カメラを受ければほとんどは異常を指摘できます。
大腸カメラを受けましょう。
大腸カメラを必ず受けるんやで。なるべく早い方がいいんやで。
排便困難型の便秘の鑑別はもちろん大事です。
QOL(Quality Of Life:生活の質)に大きく関わってきますし。
痔の治療も大事ですよ。
出血が多くなってくると貧血になって輸血が必要になったりする人もいらっしゃいます。(輸血が必要なほど出血する人は珍しいですが)
ただ、直腸癌や潰瘍性大腸炎はQOLどころか命の危険があります。
特に直腸癌は危ない病気です。
大腸カメラをやるだけでまず間違いなく診断できます。
たった1日です。
1日だけ僕らに時間をくれたらしっかり診断します。
下剤を飲むのは大変ですが、検査時間は15分〜30分くらいです。(ただし直腸癌を本当に疑うときは下剤を飲まずに、ちょっとした浣腸だけで観察することがほとんどですし、潰瘍性大腸炎を診断するだけであれば浣腸のみでもできないことはないです。)
以上です。
今日もお疲れ様でした。