あなたの下痢が続く原因は薬かもしれない!?
こんにちは。
もしかしたらあなたの下痢が続く原因は薬かもしれない??
今日はこれについて解説していきたいと思います。
お付き合いくださいね。
下痢が続く原因には何がある?
そうです。
医学的には4週間以上下痢が続くときに、
下痢が続いている
と考えるのです。
医学的には4週間以内の下痢を急性下痢、4週間以上続く下痢を慢性下痢
と呼ぶのでしたね。
4週間以内の下痢=急性下痢
4週間以上続く下痢=慢性下痢
慢性下痢の原因はたくさんあります。
お腹の専門医にとっても原因を突き止めるのは難しいと言われているんですね。
慢性下痢の原因の一つに薬剤性というものがあるんですね。
今日は薬剤性の慢性下痢について解説してきますが、その他の慢性下痢の原因については以下の記事でまとめてありますので参考にしてくださいね。
薬剤性の下痢ってよくあることなん?
実際に慢性下痢の原因が薬である確率はどのくらいなのでしょうか?
答えは・・・
4%くらいです。
皆さんも意外と少ないと思われたのではないでしょうか?
しかし25人慢性下痢症の患者さんがいらっしゃったらそのうち1人は薬剤性下痢と考えると
何となく多いような気がしてきませんか?
薬剤性下痢の特徴は何と言っても
薬をやめるだけでほとんどピタッと止まる
これです。
つまり治療がいらないんですね。
25人のうち1人は飲んでいる薬をやめるだけで下痢が止まるんですよ。
場合によっては10年くらい何だかよくわからないけど下痢が続いていて、一つの薬をやめるだけでピタッと止まる方もいらっしゃいます。
結構すごくないですか?
実際のところ比較的若い人はほとんどの場合薬を飲んでいないことが多く、年をとるにつれて飲む薬の種類が多くなっていく傾向があります。
つまり
若い人は薬剤性下痢の可能性が低く
高齢者ほど薬剤性下痢の可能性が高まる
のですね。
特に高齢者では10種類くらいお薬を飲んでいることもザラにあります。
薬をやめるにしても
どれをやめるのか?
その薬はやめても良い薬なのか?
など考えることはたくさんあるんですね。
なので思っているよりも原因となっている薬を見つけるのは難しいのです。
薬剤性下痢では原因となっている薬をやめるだけでピタッと下痢が止まる
若い人は薬剤性下痢の可能性が低く、高齢者ほど可能性が高まる。
実際にどんな薬が下痢を引き起こすのか?
そもそも薬というのはどんな薬にも副作用というものがあります。
皆さんは風邪薬とか抗生剤とか胃薬とか
薬局で買ったり先生に処方してもらったりすると思うのですが、その薬を飲んで副作用が出るかもしれないと思って飲まれていますか??
何度も言いますが、ただの風邪薬でも副作用が出る可能性というものが必ずあります。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、この事実を認識していない人が多すぎるんですね。
ちなみに
薬のすべての副作用のうち7%が下痢と言われています。
これはとっても多い数字です。
薬の副作用には例えば
吐き気とか
蕁麻疹とか
肝臓の値が悪くなるとか
腎臓が悪くなるとか
数えだすとキリがないくらいあるんですね。
その中で7%を占めるというのは相当な数です。
その中でも下痢を引き起こしやすい薬があります。
いろんな薬が下痢を引き起こすのですが、その中でも下痢を起こす頻度の高い薬という意味ですね。
例えば抗生剤(正しくは抗菌薬です)
風邪に対して抗生剤を処方するなんて僕からすれば自殺行為なんですよね。
そもそも風邪はウイルスが原因で抗生剤(抗菌薬)は細菌を倒すための薬なんです。効くはずがないんですね。
それどころかたくさんの副作用を引き起こしてしまうんですよ。
抗生剤を飲んでから下痢になる人はたくさんいらっしゃいます。
最近では特にクロストリジウム・ディフィシル感染症と呼ばれるものが注目されています。(ずいぶん昔からある病気ですが、欧米で大ブレークしたので有名になりました。)
クロストリジウム・ディフィシルは元から腸の中にいるのですが、
抗生剤を飲むことで善玉菌が減ってしまい、猛威を振るうんですね。
若い人でも死亡例のある怖い病気です。
クロストリジウム・ディフィシル感染症については以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。
抗生剤を使うのが怖くなって来ないですか?
実際怖いんですよ。
これは脅しではないです。
余計な薬は飲まない
これに尽きます。
下痢を引き起こしやすい薬のリスト
簡単なリストを作ってみましたのでご自身で飲まれている薬があるかどうか、確認してくださいね。
思ったよりも身近な薬が多いはずです。
・便秘薬(酸化マグネシウムなど)
・胃薬(ランソプラゾールが多い)
・抗生剤(特にエリスロマイシン)
・痛み止め(ロキソニンやジクロフェナック、メフェナム酸)
・血圧の薬(オルメサルタンが多い)
・糖尿病の薬(メトホルミン、DPPⅣ阻害薬など)
・甘草、サンシンを含む漢方薬
・利尿薬(フロセミドなど)
・ウルソ
・喘息の薬(テオフィリン)
・不整脈の薬
・抗がん剤
いかがですか?
特に胃薬や痛み止め、漢方薬などはずっと飲み続けている方も多いのではないでしょうか?
特に甘草(かんぞう)は漢方薬の大半に入っていますので、漢方薬が下痢の原因になっているのをよく見かけます。
この中でも注目すべきものが
胃薬のランソプラゾール、痛み止めのロキソニンなど、血圧を下げる薬のオルメサルタンです。
商品名はまた違った名前になっている可能性があるので、ご自身で飲まれている薬がこれらと同じ薬かどうか確認してくださいね。
この3種類は顕微鏡的腸炎という病気を引き起こしている可能性があります。
顕微鏡的腸炎というのは実際に内視鏡で覗いてみると正常に見えるのだけれども、生検(組織をとる)して顕微鏡で見ると腸炎がある、という病気です。
顕微鏡的腸炎は大きく2つに分かれます。
膠原線維性大腸炎(Collagenous colitis)とリンパ球浸潤大腸炎(Lymphocytic colitis)と呼ばれるものです。
日本では顕微鏡的腸炎はCollagenous colitisがほとんどです。
しかも内視鏡で覗いてみると特徴的な所見があることが多いと言われています。
上で説明した3つの薬はこのCollagenous colitisを引き起こすことが多いんですね。
ひどい場合だと下痢を漏らしてしまうこともあります。
基本的にはとった組織を顕微鏡で見ることで診断をつけるのですが、最大の治療は
薬をやめること
です。
日本ではデータをとっていないので、顕微鏡的腸炎を患っている人がどのくらいいるのかはわかりませんが、アメリカでは炎症性腸疾患(IBD)と同じくらいの人数がいると言われています。
炎症性腸疾患は日本でもかなり増えているので、見逃されている顕微鏡的腸炎がおそらくたくさんいらっしゃる、ということですね。
顕微鏡的腸炎は奥が深いので以下の記事でまとめています。参考にしてくださいね。
まとめ
今日は薬剤性下痢について説明させていただきました。
通常、病気は何らかの追加治療が必要なことが多いのですが、薬剤性下痢の治療は「薬をやめること」です。
お金もいらない
入院もいらない
体に負担がかからない
何とも良い治療ですよね?
先ほどのリストに該当する薬がある方は、一度かかりつけの先生とご相談のうえ、休薬を考えてみてくださいね。
今日は以上です。
お疲れ様でした。