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過敏性腸症候群(IBS)の食事療法について簡単に解説するで!
皆さんこんにちは、べんぴ先生です。
今日は前回に引き続き過敏性腸症候群について解説していきたいと思います。
例にならって過敏性腸症候群と呼ぶのはめんどくさいので、IBS(アイビーエス)と呼ばせていただきます。
ぜひお付き合いください!
過敏性腸症候群(IBS)に食事療法って効果があるの?
食事療法というと、なんとなく民間療法的な嘘くさーい雰囲気が漂っていますよね?
果たしてIBSに対して食事療法はどれほどの効果があるのでしょうか?
結論から言います。
IBSに対する食事療法はわかっていないことだらけです。
つまり、
IBS患者さんに有効な特定の食事療法は確立されていない
というわけです。
そうは言っても効果のある人は、しっかりと効果が得られますので食事をおろそかにしていいというわけではないです。
これについて簡単に解説してみたいと思います。
確固たる食事療法は今のところないんやで。
低FODMAP療法はIBS患者さんに効果があるんじゃないの?
はい、出ましたFODMAP。
フォドマップと読みます。
FODMAPは人体では吸収しにくい炭水化物の頭文字をとったものです。
有名どころで言うとオリゴ糖ですね。
F=Fermentable 発酵性の
O=Oligosaccharides;オリゴ糖
D=Disaccharides:二糖類
M=Monosaccharides:単糖類
And
P=Polyols:ポリオール
覚えていらっしゃいますか?
FODMAPなんてすっかり忘れてしまったという方は以下の記事を参考にしてくださいね。
FODMAPの量が多い食事をとると小腸で吸収されなかった糖質が大腸に流れ込み、それを腸内細菌が食べることでガスを大量に発生されたり水分を腸の中に引き込むことでIBSの症状を悪化させてしまうリスクがあるのでした。
FODMAPをなるべく取らない食事、これが低FODMAP療法と呼ぶのでした。
実はIBSに対する低FODMAP療法の有効性は微妙なんやで。
そうは言っても、低FODMAP療法は効果のある人にはあります。
もしかしたらこれらの研究結果も、今後もっともっとIBSになっている原因を細分化していって、あるグループの人たちには低FODMAP療法が効くというエビデンスが構築されるかもしれません。
理論的には低FODMAP療法の考え方は正しいように僕には思えます。
でも今のところはそれほど科学的根拠のある食事療法ではないと考えてください。
「効く人には効くこともある」
これくらいに考えておきましょう。
低FODMAP療法は効くこともある、くらいにとどめておくで。
グルテンフリー食はどうなの?
今IBSと言われている人の中にはセリアック病やそれ関連する病気の人が含まれていると言われています。
つまりグルテン関連疾患ですね。
セリアック病については話し始めると長くなるので、またの機会に解説するとします。
IBSと言われている人の中にはセリアック病やそれ関連する病気の人が含まれていると言われています。
それはそうとこの文章、何か引っかからないですか?
IBSというのは本来はお腹が痛くて、その痛みが排便に関連していて慢性的に繰り返しているという診断基準のある病気です。
つまり消極的ではなく積極的に診断したい病気なのですが、たくさんの除外しなければいけない病気が含まれているのです。
ここで出てきたセリアック病なんかもその一つです。
他には胆汁酸性下痢であるとか、食物アレルギーだとか、薬剤性の下痢なんかも含まれているわけなんです。
これらをきちんと除外しないと、効くはずの食事療法も効かなくなってしまうと思いませんか?
これらの診断をきっちり除外できる医者がたくさんいるとは僕には思えません。(僕も含めて・・・)
なので言い切ってしまえば、今ある食事療法のデータというのは少し「雑」と言えるわけです。
これらの考えるべき病気をしっかり除外した後で、例えば低FODMAP療法などの食事療法の試験を組む必要があるわけです。
話が思いっきりそれてしまいました。
グルテンフリー食がIBSに対して効果があるかどうか
という話でしたね。
結論から言うと今のところそのようなエビデンス(科学的根拠)はありません。
グルテンフリー食がIBSに効果的というエビデンスはないんやで。
ただ、これも研究となる対象を絞りきれていない可能性があります。
なので、一概にIBSの患者さんみんなにグルテンフリー食事が効かないとは言えないと僕は思います。
高繊維食はどうや!?
それなら一般的に腸に良いと言われている高繊維食はどうでしょうか?
食物繊維の多い食事は体に良さそうですよね?
結論から言いましょう。
水溶性食物繊維はIBS症状を改善することが知られています。
不溶性食物繊維はIBS症状を改善しないだけでなく、悪化させることがあるので注意が必要なんです。
水溶性食物繊維はIBSに良いんやで。水溶性やで、不溶性じゃないで。
これはある程度信用してもいいでしょう。
ただし、当然IBSの患者さんみんなに効果があるわけではないですよ。
逆にお腹が張るなどの症状が出る人は、取りすぎに注意しましょう。
他になんか工夫できることある?
科学的根拠のレベルが低いからと言って、絶対に効果がないというわけではありません。
今あげたような食事療法は、特に体に害が出るわけではありませんので、とりあえず試してみるというのも一つの手です。(ただ、本気でやろうとするとかなり大変ですが・・・)
ここからはIBSを悪化させてしまう可能性がある食事について簡単にご紹介したいと思います。
いずれもガイドラインに載っているものですが、これらもエビデンスレベルがすごく高いとは言えなさそうです。
ただ、とりあえずこれらの食事を抜いてみる価値はあると思いますよ。
①炭水化物や脂質が多い食事
②コーヒー
③アルコール
④唐辛子などの香辛料
⑤IgG抗体陽性の食事
5番だけ「ん??」となったと思います。
順番に簡単に説明していきますね。
まず①から。
炭水化物が多い食事というのはFODMAPが多く含まれている可能性がありますよね?
おそらくそのような理由もあり、勧められないのではないかと思います。
さらに言うと炭水化物が多い食事を続けると血糖の上がり下がりが激しくなってしまい、糖尿病にもなりやすいですのでその点でもオススメとは言えないわけです。
脂質が多い食事がなぜIBSを悪化させうるかと言いますと、
脂質が十二指腸に流れ込むとどうやら内臓知覚過敏が悪化してしまうようなんですね。
内臓知覚過敏というのはIBSの根幹を成す病態ですので、注意が必要なんです。
歯の知覚過敏と同じイメージです。
腹痛などが悪化してしまうんですね。
②〜④はイメージ通りではないでしょうか?
まさに腸に悪そうなものばかりですよね?
四川風ラーメンなんかを食べた翌日には健康な人でも下痢になってしまいますもんね。
コーヒーもアルコールも健康な人でも下痢になるという話は以前しました通りです。
特にアイスコーヒーに注意が必要でしたね?
食事と下痢の関係については以下の記事にまとめていますので、参考にしてくださいね。
では最後に⑤IgG抗体陽性の食事について解説します。
簡単に言いますとアレルギーの出る食事は抜きましょうよ、という話です。
先ほどの話の続きになるのですが、IBSと現在診断されている人の中に、食物アレルギーの人が含まれていることがわかっています。
IBSの中に食物アレルギーの人が隠れているんやで。
これについても別の機会にお話したいと思います。
アレルギーと言っても蕁麻疹が出るとか呼吸が苦しくなるとか、そのようなわかりやすい症状だけなら簡単に診断できるのですが、そうでないアレルギーもあるんですね。
IBS症状、つまりなんとなくお腹が痛いとか、下痢になるなどの症状が慢性的に続いてしまうだけの人がいるのです。
このような人は逆にアレルギーの原因となっている食べ物を突き止めて、それを抜いてあげるだけで症状がよくなるんですね。
治療は至ってシンプルというわけです。
食事療法のまとめ
今日はいろいろな食事療法について解説しました。
ここでご紹介した食事療法は一度は試してほしいものばかりです。
エビデンスレベルも大事なのですが、本当にIBSの診断であっているのか?
こっちの方が大事です。
本当に胆汁酸性下痢じゃないのか?
食物アレルギーではないのか?
セリアック病ではないのか?(日本には少ないと言われていますが)
薬剤性ではないのか?
これらを全て考え抜いた上で、IBSと診断することがもっとも大事だと僕は思います。
その上で今日ご紹介しました食事療法にチャレンジしていただくのが良いと思います。
食事療法に関しては水溶性食物繊維のようにIBSの症状を緩和すると言われているものもありますが、基本的には「何かを除去する」という方針です。
ご自身の症状を引き起こしているものを突き止めることができれば、勝負ありということです。(それを見つけるのが大変なのですが)
今日は以上です。
お疲れ様でした。