便秘・下痢

膵臓の病気が下痢の原因になる!?

膵臓の病気が下痢の原因になる!?

みなさんこんにちは。

べんぴ先生です。

今日は膵臓の病気と下痢の関係について解説していきたいと思います。

ぜひお付き合いください。

膵臓ってどこにあるの?

ガンコちゃん

そもそも膵臓ってどこにある臓器でしたっけ?

べんぴ先生

やっぱりそこからやんなあ。

みなさんは膵臓ってお腹のどこらへんにあるかご存知ですか?

ここです。

わかりにくいかもしれませんが、胃の裏側にある細長い臓器です。

形はおたまじゃくしにそっくりなんですね。

 

膵臓癌の人が背中が痛くなるという話をお聞きになったことがありますか?

膵臓は背中側の臓器なので背中の神経に癌が噛み付いて痛みが出るという理由です。

 

テレビでよく腰痛が膵臓癌の兆候だと煽るので、消化器内科の外来にも心配になって来院される患者さんが多数いらっしゃいます。

 

 

でも安心してください。

ほとんどの場合はただの腰痛症であり、膵臓癌であることはごくごく稀なんですね。

 

もちろん自分の健康に関心を持つことはとても良いことなんですけどね。

 

膵臓ってどんな働きをしてるの?

ガンコちゃん

膵臓が悪いと糖尿病になるという話を聞いたことがあるんですけど。

べんぴ先生

お〜。その通りや。血糖のコントロールも膵臓の大きな役割の一つやで。でもそれだけじゃないんや。

膵臓っていうのはホルモンとか消化酵素を分泌する臓器なんです。

分泌というのは簡単に言うと、何かの液体をピュッピュッと出すということですね。

 

分泌には内分泌外分泌という2種類があるのです。

分泌には内分泌と外分泌の2つがあるんやで。

ここが今日一番難しいところなのですが、膵臓という臓器を理解するためにはもっとも大切なところですので、頑張ってついてきてくださいね。

ガンコちゃん

ラジャ!!

内分泌というのはどういうものかと言いますと

まずホルモンを膵臓が作り出します。

そのホルモンを血液の中に分泌して体中に運んでもらうんです。

血液というのは体の中ですので、内分泌と呼ぶんです。

 

逆に外分泌とはどういうものかと言いますと

消化酵素を膵臓が作り出します。

その消化酵素を十二指腸に分泌するんですね。

十二指腸は胃の次に食べ物が通るところです。

 

みなさんご存知ないとは思うのですが、胃腸というのは実は体の外なんです。

ガンコちゃん

嘘でしょ?体の中にあるじゃないですか!?

べんぴ先生

いや、外なんや。口と肛門は外界とつながっているやろ?だから胃腸は体の外なんや。

ガンコちゃん

ヒョエ〜

 

胃腸に分泌するということは体の外に分泌するということなので、外分泌ということになります。

膵臓は外分泌も内分泌もするんやで。

 

膵臓が悪いと下痢になるの?

ガンコちゃん

さっきの流れから考えると、分泌がうまくいかなくなって下痢になるってことですよね?

べんぴ先生

まさにそうや。外分泌がうまくいかなくなると下痢になるんやで。

 

説明しましょう。

皆さんは食事を食べますよね?

食事を食べてからしっかりと体内に取り込むまでに、消化管は2つの作業を行っています。

それは消化吸収です。

 

食べ物を食べて、そのままの形では人間の体は吸収できないんですね。

吸収は主に小腸で行われるのですが、吸収するためには消化という作業が必要なんです。

食べ物を消化するために重要な役割をするのが膵臓という臓器なんですね。

胃の中という超絶すごい酸性の臓器でこねくり回された食べ物は、次に十二指腸を通ります。

膵臓は消化酵素を自ら作り出して、この十二指腸に外分泌するんです。

膵臓は自分で消化酵素を作って十二指腸に分泌するんやで。

膵臓がしっかりと機能することで消化がうまくいき、その結果体の中に吸収されやすくなるんですね。食べ物が吸収できて初めて僕らは生きていくことができるというわけなんです。

ここまではよろしいですか?

 

べんぴ先生

じゃあ膵臓が悪くなったらどうなるかわかるかい?

ガンコちゃん

消化がうまくいかなくなるんじゃないんですか?

べんぴ先生

その通り。

 

食べ物は大きく分けると3種類あります。

それは炭水化物とたんぱく質と脂質です。

食べ物は大きく分けると炭水化物とたんぱく質と脂質があるんやで。

消化酵素というものは、炭水化物専用のものや、たんぱく質専用のもの、脂質専用のものなどがあるんですね。

では膵臓が分泌する消化酵素はどれに対応するんでしょうか?

 

ガンコちゃん

脂質でしょ!!

べんぴ先生

いや、それが全部なんや。

ガンコちゃん

なんやねん。

 

膵臓というのは消化の大将と言っても過言ではない臓器なんですね。

炭水化物、たんぱく質、脂質の全てに対応する消化酵素を分泌してくれる臓器なんです。

 

しかし膵臓が悪くなると、これが裏目にでます。

つまりこの3つの栄養すべての消化が悪くなるんですね。

 

ガンコちゃん

やばいですね。

べんぴ先生

激ヤバや。

膵臓が悪くなると消化が全然うまくいかんくなるんやで!

消化がうまくいかなくなるとどうなるか?

先ほどの話を思い出してください。

 

そうです。消化とはうまく吸収して体内に栄養を取り込むために行われるんですね。

消化がうまいかなくなるともちろん吸収がうまくできなくなります。

そうすると食べ物が小腸で吸収されずに通り過ぎてしまうんですね。

 

極端な言い方をすれば食べ物がそのまんまの形に近い状態で出てしまうんです。

そうすると下痢になるんですね。

 

特に膵臓が悪くなると脂肪の吸収がうまくできなくなるので、脂肪便になることが多いと言われています。

 

逆に脂肪便を見たら膵臓の病気を疑った方がいいです。

脂肪便を見たら膵臓の病気を疑うんやで。

ガンコちゃん

先生、脂肪便ってどんなんでしたっけ?

べんぴ先生

忘れちゃったかあ。ここで再確認しておこう。

脂肪便の特徴

・白っぽい便

・すぐにバラバラになる

・水に浮く

・便器にへばりつきやすい

・臭い

・便の量が多い

脂肪便の特徴はこんな感じです。

重要なポイントとしては、トイレを流した後も必ず便器をチェックしてください。

脂肪便の場合は水を流してもなかなか便が取れないことが多いんですね。

脂肪便はへばりついてなかなか取れないんやで。

脂肪便は特徴的なので、これらの特徴を覚えていたらすぐにわかりますよ。

みなさんも気をつけて便を見てくださいね。

糖尿病も忘れずに

膵臓には外分泌と内分泌の2つの大事な機能があるんでしたね?

先ほどは外分泌の話をしたのですが、膵臓が悪くなると当然ですが内分泌の機能も落ちてきます。

膵臓はホルモンを血液に分泌するのですね。

べんぴ先生

どんなホルモンを分泌するか知ってるかい?

ガンコちゃん

うーん・・・知りません。

べんぴ先生

いろいろホルモンを分泌するんやけど、一番有名なのはインスリンやね。

膵臓はインスリンを分泌するんやで。

インスリンは血糖を下げるホルモンなんですね。

膵臓が悪くなるとインスリンが少なくなってしまうので、血糖を下げきれないんです。

そうするとどんどん血糖値が上がっていって、糖尿病になってしまうんですね。

膵臓が悪くなると糖尿病になるんやで。

膵臓が原因で糖尿病になってしまう場合はインスリン注射が必要になることが多いんです。

なぜインスリンが有名で大事なホルモンかと言うと、人間の体は血糖を上げるホルモンはそこそこあるのですが、血糖を下げるホルモンはインスリンくらいしかないわけなんです。

それはなぜかと言うと、昔は今と違って「飢餓」が問題だったわけです。

飢餓のたびに低血糖になっていたらすぐに死んでしまいますよね?

逆に満腹になることは少なかったので、血糖を下げるホルモンはたくさん必要なかったというわけなんです。

ガンコちゃん

確かに。今は貧乏って言っても、日本では飢餓はほとんどないですもんね。

べんぴ先生

そうなんや。そういうわけでインスリンというのは大事なホルモンなわけや。膵臓は大事なんやで。

膵臓が悪くなる病気にはどんなのがあるの?

膵臓が悪くなって下痢になる時は、主に3つの病気を考えます。

膵臓の病気

・慢性膵炎

・膵臓癌

・膵臓の切除後

これ以外の場合はかなり稀だと考えていただいてOKです。

膵臓が原因で下痢になる時は、慢性膵炎・膵臓癌・膵臓の切除後の3つを疑うんやで。

一つ一つ簡単に見ていきましょう。

慢性膵炎

慢性膵炎は読んで字のごとく慢性に膵臓に炎症がじわじわ起こる病気です。

原因としてはアルコールが多く、他には胆石や遺伝、免疫の病気などがあります。

僕らが臨床をしていて出会う慢性膵炎の患者さんは、ほとんどアルコールが原因です。

じわじわと長期間膵炎が起こることで、当然膵臓は弱ってきて消化がうまくできなくなって、下痢になるというわけです。

慢性膵炎がかなり進んだ状態になると診断は簡単にできるのですが、早期に発見するのはすごく難しいと言われています。

慢性膵炎は早期に診断するのはすごく難しいんやで。

早期に診断するツールは確立していないのですが、便の検査や画像検査が良いと言われています。

べんぴ先生

超音波内視鏡検査というのを僕もよくやるけど、実際に膵炎所見があっても症状がなかったりして診断が難しいんよ。

ガンコちゃん

まあ。そうなんですね・・・

治療としては原因そのものに対して行う治療と、症状に対して行う治療の2つがあります。

例えばアルコールを飲みすぎて慢性膵炎になっていて、下痢が出ている場合はどうでしょう?

まずはアルコールを止めることです。

断酒するべきです。

下痢に対しては消化酵素剤というものを内服してもらいます。

 

症状に対して行う治療はご紹介した3つの病気全て同じですね。

膵臓が悪くなった時の治療

腹痛がひどい時➡︎フォイパンという薬

下痢がひどい時➡︎消化酵素剤

これが基本です。

消化酵素剤というのは消化酵素そのものを内服すると考えてください。

消化酵素剤については以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。

膵臓癌

膵臓癌になると当然膵臓の機能は落ちてしまいます。

ガンコちゃん

そりゃあ癌ですもんね。

べんぴ先生

まあね。通常の機能は失われてしまうね。

ただ、膵臓がんの場合は下痢になるのですが、下痢だけではなく黄疸になったり痛みが出たりすることが多い印象です。

黄疸が出るのか腹痛が出るのかは、膵臓癌が膵臓のどこにできるのかによっても変わってきます。

膵切除後

なんらかの病気で膵臓を切除していれば、膵臓の機能が普通よりも落ちてしまうのはイメージできるかと思います。

ちなみに膵臓を全部切除してしまっていたらインスリンや消化酵素剤というのは必ず必要になります。

毎日のことなので大変です。

ガンコちゃん

毎日インスリン打つのは大変ですよねえ。

べんぴ先生

大変やで。でもインスリンも飲み薬が出るとか出ないとか。

ガンコちゃん

へー。そうなると良いですねえ。

まとめ

今日は膵臓と下痢の関係について解説しました。

膵臓と下痢

・膵臓は消化という重要な役割を担っている

・脂肪性下痢を見たら膵臓の病気を疑え

・特に慢性膵炎と膵臓癌に注意

・膵臓が原因の下痢の治療は消化酵素剤

・消化酵素剤については別の記事を参照

下痢のいろいろな原因に関しては以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。

膵臓が悪くても下痢になることがあるということは覚えておいてくださいね。

今日はお疲れ様でした。

ABOUT ME
大北 宗由
大北 宗由
現役の消化器内科医師です。現在愛知国際病院で勤務しております。 便秘・下痢に関する正しい知識を広めるために日々ブログを書いています。 日本消化器病学会専門医・日本総合内科専門医・日本消化器内視鏡学会専門医