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小麦を食べると下痢になる?
みなさんこんにちは。
べんぴ先生です。
今日は小麦とお腹の病気の関係について解説していきたいと思います。
ぜひお付き合いください。
小麦にはどんな物質が含まれる?
皆さんは小麦にどんな物質が含まれているかご存知ですか?
もちろん沢山の物質が含まれているのですが、今日は2つだけ取り上げたいと思います。
・フルクタン
・グルテン
まずはフルクタンですね。
これはオリゴ糖の一種です。
皆さん、FODMAP(フォドマップ)をご存知ですか?
F=Fermentable 発酵性の
O=Oligosaccharides;オリゴ糖
D=Disaccharides:二糖類
M=Monosaccharides:単糖類
And
P=Polyols:ポリオール
腸でなかなか吸収できない炭水化物をまとめてFODMAPと呼ぶんですね。
フルクタンはオリゴ糖の一種で、FODMAPの一つです。
お腹が張りやすい、お腹の調子が悪い人がFODMAPを多く含む食事を食べると、お腹がパンパンに張ってしまったり下痢になったりする可能性があるんですね。
小麦はフルクタンを多く含むので、そういう意味でもお腹に良いとは言えないわけなんです。
フルクタンはお腹に良いとは言えないんやで。
そしてもう一つはグルテンです。
今日の話題はこっちです。
このグルテン。
なかなか厄介なやつです。
簡単に解説してみますね。
グルテン関連疾患って何?
グルテン。
グルテンは小麦に含まれるタンパク質の一つです。
世界的に小麦の摂取量は増加傾向にあります。
それに加えていろーんな食べ物に小麦はふくまれているので、グルテンが原因で病気になっているとしても、グルテンを完全に摂取しない食事というのはなかなか難しいんですね。
ちなみにグルテンは小麦だけではなくて、大麦やライ麦などにも含まれています。
言ってしまえばグルテンはいろんな食べ物に含まれているので、知らないうちにたくさんのグルテンを摂取していると言えるわけなんです。
まずはグルテン関連疾患について箇条書きにしてみます。
大きく分けると3つの病気があると言われています。
1セリアック病
2グルテンアレルギー
3NCGS
それでは一つずつ簡単に解説してみます。
セリアック病
セリアック病の患者さんはグルテン(正確にはその中の一つの因子のグリアジン)という物質に対して体のもともと持っている免疫が強く反応してしまう病気です。
セリアック病の発症の様式はこんな感じです。
まずはグリアジンのせいで小腸の粘膜を作っている細胞と細胞の間の間隔が広がってしまいます。
間隔が広がるとスカスカになってしまいますので、そこをさらにグリアジンが通過していきます。(リーキーガット症候群)
グリアジンと免疫細胞が反応し、免疫が活発になりすぎて、自分の小腸の粘膜を攻撃し始めます。
つまりは自分で自分の小腸をぼこぼこにやっつけてしまうのです。
セリアック病では小腸が傷ついてしまうので腹痛や下痢などの症状が出ます。そしてうまく食べ物を吸収できなくなるので栄養失調になってしまうんですね。
ひどいと体重が減ったり足の浮腫みがでたりします。
それだけでなく、セリアック病は免疫の病気ですので全身にいろんな症状がでます。
例えば関節の痛みや筋肉の痛み、口内炎などです。
セリアック病は免疫の病気やから、全身に色んな症状がでるんやで。
IBS(過敏性腸症候群)という病気は以前にも説明したかと思います。
このセリアック病という病気が実は今、IBSと呼ばれている人たちのなかに隠れているんではないかと言われているんですね。
つまり、IBSと診断されているんだけれども実はセリアック病だったということです。
間違って診断されているということです。
ただし、本物のセリアック病患者さんは日本ではかなり少ないのではないかと言われています。
セリアック病の発症には遺伝的な要素が強いと言われているのですが、日本人は欧米の人たちに比べてそのような遺伝子を持っている人が非常に少ないんですね。
もちろんセリアック病の発症は遺伝子だけでは決まりませんので、日本人でもセリアック病の患者さんはいらっしゃいますが、欧米に比べると相当少ないのではないかということです。
日本人はセリアック病は少ないと言われているんやで。
ちなみにテニスのジョコビッチ選手をご存知ですか?あの錦織選手の 大敵ですね。彼はセリアック病であった可能性が高いと言われています。グルテンフリー食にしてから体調がすごく良くなったようですよ。
興味のある方はどうぞ。
セリアック病は症状と内視鏡検査と血液検査を総合して診断します。
セリアック病の診断は症状・内視鏡検査・顕微鏡の検査・血液検査を総合して行うんやで。
症状は先程お伝えした通りです。
内視鏡検査は主に胃カメラを行います。
セリアック病では十二指腸というところに変化がでやすいんですね。
十二指腸の粘膜をしっかりと観察して、組織を採取して、顕微鏡でみるわけです。
内視鏡で特徴的な変化が見つかったり、顕微鏡でセリアック病の所見があれば診断に近くということです。
あとは血液検査を行うのですが、日本ではなかなか難しいんですね。
セリアック病に特徴的な項目があるのですが、日本の保険診療ではできません。
つまり自費診療になってしまうんですね。
セリアック病の血液検査は自費で行うんやで。しかもどこでもできるわけではないんやで。
治療はグルテンフリーの食事です。
グルテンフリーの食事をして症状が改善すれば診断が正しかった可能性が高いということになります。
グルテンフリーの食事についてはあとで説明します。
グルテンアレルギー
グルテンを摂取するとアレルギー症状が全身にでてしまいます。
重症であれば致死的になってしまうこともあります。
グルテンアレルギーと小麦アレルギーは若干違うようです。
小麦アレルギーであってもグルテンアレルギーでないというパターンもあるようです。
いずれにしても食事アレルギーはご自身で判断されない方が無難です。
しっかりと医療機関にかかって対応策を練るのがよいですね。
NCGS
NCGS=Non-celiac gluten sensitivityの略語です。
先程セリアック病で行う検査について説明しました。
血液検査とか顕微鏡の検査とか。
これらの検査でセリアック病の診断に至らないんですが、やっぱりセリアック病にそっくりだね、というのがNCGSです。
セリアック病よりも気分障害が出やすいとも言われています。
吸収不良や栄養失調がほとんどないこともセリアック病と違う点ですね。
NCGSは比較的新しい言葉で、よくわかっていないことも多いんやで。
グルテンフリーの食事
今日説明しましたグルテン関連疾患の治療はグルテンフリー食です。
というより確実なものはグルテンフリー食しかありません。
本物のセリアック病でグルテンフリー食が効かない場合は、免疫を抑える薬をつかうこともあるようですが、僕は経験がないので、詳しく解説することは難しいです。
というよりもグルテンフリー食が無効だったらしっかり治療や診断を見つめ直すことが大事だと思います。
本当にグルテンフリーの食事をできているのか?
そもそもセリアック病の診断が正しいのか?
その上で免疫を抑える治療を行うんだと思います。
とは言え、グルテンフリーの食事を日本で行うのはなかなか難しいと思います。
欧米ではグルテンフリー食の研究は進んでいるのですが、日本では開発が遅れているようです。(セリアック病が少ないので当たり前と言えば当たり前ですね)
例えば蕎麦について考えましょう。
蕎麦は十割蕎麦であれば小麦は含まれていないと思うかもしれませんが、打ち粉には小麦粉が使われるようです。
そこでグルテンが登場してしまうわけですね。
他の麺類はほとんどグルテンが含まれていますし・・・
麺大好きの自分としては辛い状況です。
また、醤油にもグルテンははいっています。
徹底するならたまり醤油を使う必要があるんですね。
グルテンフリー食を徹底することが難しい上に、グルテン関連疾患は免疫やアレルギーが関与した病態なので、少しの量のグルテンが含まれているだけでも症状がでてしまうことがあるというさらに難しい問題があります。
今の日本で完璧にグルテンフリー食を実行するのは難しいということです。
もちろん頑張れば完璧にできますが、まずは気軽に少しずつ試してみるというのもいいと思います。
少なくとも主食は小麦をふくまないものにしてみるとか。
つまり主食は全部お米に変えるなどですね。
それだけでも症状が改善する人はいるはずです。
現実的にはどんな人がグルテンフリー食事を試すべきか?
慢性下痢や謎の腹痛で悩んでいらっしゃる方はまず胃カメラを受けるべきでしょう。
その上でセリアック病を疑う所見があれば、血液検査で特殊な項目を調べます(自費です)。
セリアック病などを疑う所見があればまずグルテンフリー食を試す。
これが王道です。
ただ、そこまでするのが面倒くさいという方には、特に検査を受けずにグルテンフリー食をすることをお勧めします。
グルテンフリー食にはこれといった副作用はないので、検査をせずに食事療法を行うのも悪いことではありません。(労力は必要ですが)
もし効果があれば儲けもんです。
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グルテンフリーの麺類です。
基本的にはお米がよいと思いますが、麺類が食べたくなったら試してみてください。
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グルテンフリー食を試してみたい方は参考にしてみてくださいね。
今日は以上です。
お疲れ様でした。