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下痢が続く時はアミロイドーシスも考えろ?
みなさんこんにちは。
べんぴ先生です。
下痢が続く原因の一つにアミロイドーシスという聞きなれない病気がありますので、この病気について簡単に解説していきたいと思います。
ぜひお付き合いくださいね。
アミロイドーシスって何や?
みなさんはアミロイドーシスという言葉をお聞きになったことがありますか?
おそらくほとんどの方がご存知ないかと思います。
それもそのはず。僕たちでもそんなに頻繁に出会う病気ではありません。
アミロイドーシスという病気はアミロイドという異常なたんぱく質がペチャペチャといろんな臓器にくっついて、溜まっていくことで様々な症状が出てしまう病気です。
そしてこのアミロイドは様々な原因によって発生します。
なので一言にアミロイドーシスと言ってもその背景には色んな病気が潜んでいるんですね。
・アミロイドーシスはアミロイドがペチャペチャ色んな臓器にくっついて起こる病気。
・アミロイドは色んな病気の結果として発生することがほとんど。
このアミロイドが胃腸にペチャペチャくっつくことで、下痢や吸収不良などが起こってしまうんですね。
アミロイドが胃腸、つまり消化管にくっついて下痢などの症状が起こると消化管アミロイドーシスと呼ばれます。
つまり下痢というのは消化管アミロイドーシスの一つの症状ということです。
下痢が4週間以上続くことを慢性下痢症というのでした。
慢性下痢症の原因は本当に多岐にわたるので、専門家でさえもその原因を突き止めることは難しいのでしたね。
この慢性下痢の原因の一つに消化管アミロイドーシスがあるんですね。
慢性下痢の一つに消化管アミロイドーシスがあるんやで。
消化管アミロイドーシス自体は結構稀な病気の一つなのですが、原因不明の慢性下痢の中で考えた時にはその頻度は上がります。
つまり
下痢が続く
➡︎原因を探そう
➡︎膵臓も良いしコレバインも効かないし、炎症性腸疾患(IBD)でもないし、栄養状態も悪いし原因はなんやねん!?
➡︎わけのわからない下痢の原因としては消化管アミロイドーシスの頻度は割と高い
ということです。
アミロイドーシスにはどんな種類があるん?
アミロイドーシスは、アミロイドがペチャペチャ色んなところに張り付くことで起こる病気と説明しました。
このアミロイド。
実は色んな種類があるんです。
大まかには4種類あると言われているのですが、もちろん一つ一つの名前なんかは覚える必要はありません。
そしてこの4つのうち、消化管にへばりつくのは実は2種類しかありません。(少し語弊がありますが、これくらい言い切って良いと思います。)
その2種類というのがAAとALという2つです。
一応お伝えしておくと
AA=amyloid A protein
AL=amyloid of light chain of immunoglobulin
です。
このAAというアミロイドとALというアミロイドの2つが下痢の原因になるんですね。
消化管アミロイドーシスの原因にはAAタイプとALタイプの2種類があるんやで。
ちなみにこの2種類は顕微鏡でみればわかります。
胃腸から組織をつまんで取ってきて、それに免疫染色という特殊な加工を加えて顕微鏡で見るんですね。
そうすれば判別可能ということです。
ちなみにAAとALの原因は以下の通りです。
AA➡︎90%以上関節リウマチが原因
AL➡︎多発性骨髄腫か原発性
特に覚えておいて欲しいのが関節リウマチという病気です。
関節リウマチは免疫の病気で、関節が破壊されて指が曲がったりする病気です。

AA型はほとんどが関節リウマチが原因になります。
なので、関節リウマチの人で下痢がずっと続いて栄養状態も悪くなって、という人は必ずアミロイドーシスを疑う必要があるんですね。
そしてAL型は多発性骨髄腫と原発性の2つがあります。
多発性骨髄腫という病気もなかなか皆さんは馴染みのない名前であると思いますが、簡単に言ってしまえば骨髄の病気です。
骨髄の中の形質細胞と呼ばれる細胞がたんぱく質を生産することで色んな症状が起きてしまうんです。
原発性というのは他に全く原因がないけれでもアミロイドがたくさんへばりつくということです。
アミロイドはなんらかの病気が原因になっていることが多いのですが、原因が見当たらないという場合です。
関節リウマチや多発性骨髄腫の患者さんに慢性下痢、栄養不良が生じたら、アミロイドーシスを疑うんやで。
これくらいザックリで良いと思います。
消化管アミロイドーシスはどうやって診断するの?
消化管アミロイドーシスの診断は意外と簡単です。
組織を取ればいいんです。(生検と呼びます)

十二指腸は胃の次の小腸です。
背中側にあるのでなかなか症状が出にくいのが特徴です。
この十二指腸から組織を取れば、かなりの確率でアミロイドーシスを診断することができます。
アミロイドーシスを診断したかったら十二指腸から組織をとるんやで。
内視鏡所見はどうなのか?と言われると、AA型とAL型でその所見は若干違ってきます。
もちろんどれくらいの量のアミロイドがへばりついているかで所見が変わってくるのですが、AA型とAL型ではアミロイドがのへばりつく場所が少し違うんですね。
なので内視鏡所見もおのずと変わってくるということです。
AA型=粘膜の表面に近いところ
AL型=粘膜よりも少し深いところ、腸の筋肉
なのでAA型は表面が出血したりボロボロになることが多いです。
逆にAL型は表面から潜り込んだ場所にアミロイドがへばりつく傾向にあるので、表面は意外と綺麗で、ボコッと膨れたような所見を呈することが多いんですね。
とは言ってもいろんなバリエーションがありますので、参考程度になります。
あくまでも顕微鏡の検査で見分けるんですね。
アミロイドーシスの治療のポイント
消化管アミロイドーシスの治療は、原因となる病気をしっかりと治療することがポイントです。
関節リウマチであればリウマチをしっかりとコントロールする必要があるんですね。
ただし、アミロイドーシスで下痢が続いているような方は、ほとんどの場合衰弱してしまっています。
そんな状況ではなかなか強い治療に踏み切れないので、結構予後が悪いことが多い印象です。
まとめ
今日はアミロイドーシスという病気について解説しました。
みなさんには聞きなれない病気ではあると思いますが、消化管アミロイドーシスは慢性下痢の一つの原因となりますので、覚えておいて損はないかと思います。
ちなみになのですが、クローン病や潰瘍性大腸炎という病気を覚えてらっしゃいますか?
まとめてIBD(炎症性腸疾患)と呼ばれるのですが、このIBDという病気の人も消化管アミロイドーシスになる可能性があります。
もちろんIBDが発症して急になるわけではなく、10年くらい経ってからアミロイドーシスが発症するとされています。
IBDについては以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。
IBDにアミロイドーシスが発症すると癌のリスクも上がりますし、寿命は縮まると言われています。
今日は以上です。
お疲れ様でした。