みなさんこんにちは。
今回は排便回数が少ないと心臓や血管の病気で死亡しやすくなるのかどうか、という少しsensitiveな話題について触れてみたいと思います。
今までにも便秘が原因で死亡したり入院したりすることがある、という話は何度かしてきました。
例えばトイレで息むことで血圧が一気に上がり、くも膜下出血を引き起こすなどがあります。
これらに関しては以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。
今回は単純に排便回数が少ない人と多い人では将来的に健康上の差が出てしまうのか?ということについて解説していきたいと思います。
お付き合いください。
排便回数ってどういう意味?
毎日出ていれば便秘ではないのか?
2日に1回出ても便秘と呼ぶのか?
1週間に1回でも本人が不快でなければ良いのではないか?
などなど、疑問点はあるかとは思いますが、ここでは単純に排便回数と心血管疾患による死亡の関係性にだけ絞って考えたいと思います。
排便回数が少ないと死亡リスクが上がる?
排便回数が少ないと心血管疾患で死亡するリスクが上がってしまうんやで。
これは日本で行われた大規模な研究結果からわかったことなんですね。
つまり今日のこの話は大崎コホート研究という研究結果に基づいています。
大崎コホート研究は40歳〜79歳の日本人45112人を対象に行われた研究です。
このうち2000人程度の人が約13年の間に心臓や血管系の病気で亡くなりました。
それでこれらの人たちを以下の3つのグループにわけて心臓や脳卒中などの血管系の病気による死亡との関係について検討したというわけです。
①1日に1回以上便が出る人たち
②2〜3日に1回便が出る人たち
③4日に1回以下しか便が出ない人たち
結果は先ほどお伝えしました通りで、
①の1日に1回以上便が出る人たちのグループが当然病気になりにくく、②や③のグループの方が心臓・血管系の病気で死亡するリスクが高かったということです。
そして②より③のグループの方が当然死亡するリスクも高かったのです。
①に比べて②は1.21倍、③は1.39倍死亡リスクが高い
排便回数が少なければ少ないほど心血管疾患による死亡リスクが高いんやで。
ただ、なぜ便秘で排便回数が少ないと心血管疾患による死亡リスクが高いのかはわかっていません。
様々な理由が考えられますが、因果関係については調べることは今後の研究課題と言えそうです。
ちなみに因果関係を証明するということはおそらくみなさんが考えるよりも難しいことなんですね。
ここで言う因果関係とは
排便回数が少ないから心血管疾患による死亡リスクが高い
という意味です。
これを証明するにはこの研究だけでは無理です。排便回数が少ないかどうか以外の様々な事柄(因子)をぜーんぶ揃えた上で排便回数が少ない人と多い人の死亡リスクを比較しないといけません。
排便回数と心血管疾患による死亡リスクが関係あるということと因果関係があるということは違うということですね。
結論から言えることは?
この研究から言えることは
高血圧や糖尿病などの生活習慣病をコントロールことが大事なように、便秘もしっかりとコントロールすることがおそらく重要ということです。
毎日毎日の積み重ねということですね。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病をコントロールことが大事なように、便秘もしっかりとコントロールすることが重要やで。
もちろん排便をしっかりとコントロールすることは簡単なことではありません。
刺激性下剤をバンバン使ってコントロールすれば良いというわけでもありません。
便秘の原因をしっかりと調べてそれに対して対処できることがあれば対処し、然るべき薬剤を使用することが大事なんですね。
幸い今はたくさんの新しい便秘薬が発売されており、選択肢が増えました。
ご自身に合う薬を見つけることが重要です。
便秘薬については以下の記事でまとめていますので、参考にしてくださいね。
この記事が目次のようになっていますので、そこから検索してください。
また、私自身の話で恐縮ですが、愛知県の愛知国際病院というところで2019年9月(10月くらいになってしまうかもしれません。)から便秘・下痢外来を開設する予定です。
些細なご相談でも全く問題ありませんので、お困りの方はぜひ来院下さい。
詳細が決まりましたらまたブログの方でアナウンスさせていただきます。
今日は以上です。
お疲れ様でした。