糞便移植の臨床試験で死亡例が報告!
皆さんこんにちは。
今日は糞便移植について少しお話ししたいと思います。
米食品医薬品局(FDA)が糞便移植を受けた患者のうち2人が多剤耐性菌に感染したと発表しました。
そしてそのうちの1人が死亡したそうです。
もちろん死亡例が出たからといって糞便移植はやめましょうとはなりません。
どんな治療法にも副作用はあるんですね。
日本にいるとなかなかイメージがわきませんが、糞便移植は偽膜性腸炎という病気に対して有効なことがあるんです。
偽膜性腸炎は抗生剤を使うことで腸内細菌叢が崩れて、クロストリジウム・ディフィシルという菌が異常に繁殖し、毒素を出すことで腸炎を引き起こす病気です。
日本ではそこまで大流行していませんが、欧米では猛威をふるっていた時があったんですね。
その際に糞便移植が最後の砦になったわけです。
糞便移植は大事な治療なんですね。
偽膜性腸炎については以下の記事を参考にしてくださいね。
そして糞便移植は潰瘍性大腸炎という病気や過敏性腸症候群(IBS)という病気、さらには慢性便秘症にも将来応用される可能性があります。
今回の一件で「糞便移植はダメな治療です」とはなりませんが、少なくとも重篤な腸炎のような副作用はあるということを理解しなければなりません。(以前からそのリスクは言われていましたが)
今後糞便移植にはものすごく期待していますが、少なくとも現時点では臨床試験などで行われるべき治療であって、安易に行われる治療であってはならないということは確かです。
糞便移植は将来性のある治療方法ではあるけれども、現時点では安易に行う治療ではないんやで。
そう言えば僕が初めて糞便移植について知ったのは、以前勤めていた病院でのカンファレンスでした。
毎週論文を読んでそれについて討論するのですが、他の先生が確かスウェーデンの論文だったと思うのですが、糞便移植についての論文を選んで発表されていたんですね。
その当時はかなり盛り上がった記憶があります。
「まさか便を移植するなんて・・・!」
懐かしい記憶です。
今日は以上です。
お疲れ様でした。